常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

eleventh hour

今回はJUDI PICOULTのPicture Perfectのp.190から英語の落穂拾いをします。
The sergeant cuffed him to the chair again and Alex sat quietly, his knees drawn up to his chest and his free arm clasped around his ankles. He closed his eyes and pretended he was on death row, at the eleventh hour.
今回注目したいのは,eleventh hourです。(6月13日のfu-minさんの記事の一部で既出)
http://d.hatena.ne.jp/A30/searchdiary?word=eleventh&type=detail
文脈から判断すると,これは前にあるon the death row を修飾する内容が来ることがわかります。on the death row は,「(死刑囚が)死刑執行を待って」(『ジーニアス英和辞典』第4版,大修館書店)とあります。つまり,ここでは「最期の」のような単語が入ると予測できます。
辞書をみると,eleventh-hour 「期限ぎりぎりの時、最後の瞬間」(『リーダーズ英和辞典』第2版,研究社)とありました。しかし,なぜeleventh-hourは「最期の瞬間」を意味するのでしょうか。これは,「マタイによる福音書20章」の「『ぶどう園の労働者』のたとえ」のなかで,「朝早く来て働き始めた人」と「仕事が終わるギリギリの時間である “the eleventh hour(夕方5時)” に来て1時間しか働かなかった人」が,主人から同じ「1デナリオン」の賃金を支払われ,早く来た労働者が「働いた時間が違うのになぜ同じ賃金なんだ」と不平を言ったというところに由来しています。』
http://eigo.be/expressions/eleventh-hour.htmより引用。)
言葉は文化に深く根付いていることを改めて実感しました。
(ゼミ生 Temple)