常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

stand by its choice(解説)

田邉先生のご指名質問にお答えしたいと思います(http://d.hatena.ne.jp/A30/20101009/1286586451)。
中国は受刑者であるLiu Xiaoboがノーベル平和賞を受賞したことに強く反発しています。それに対してノルウェイにあるノーベル賞審査委員会は以下のような姿勢を維持しています。
The Nobel Committee stood by its choice and said it had expected China to react strongly.
質問の内容はstood by its choiceの解説をしなさいというものです。
このits choiceはノーベル賞審査委員会で出したchoiceを指すので,単に「選択」とするのは不適切です。辞書を調べてみると「 選ばれた物[人];選ばれる資格のある人[物]」という文脈に合致する定義を見つけ出すことができました(『プログレッシブ英和辞典』小学館)。
次に辞書でstand by〜を調べてみると一般的に知られている「(人)を擁護する,…に見方する」という定義以外にも「…のそばに立つ[立っている]」や「(約束・協定など)を守る,固辞する」と出ていました(『スーパーアンカー英和辞典』第4版,学研教育出版)。しかし,どの定義も文脈上しっくりといきません。
中国が反発するのを想定しつつも,劉暁波(りゅうぎょうは)氏に平和賞を授与したのは審査員会の固い信念と決意があったからだと解釈できます。よって,審査員会は受賞者決定には「確固たる自信がある」という風に処理するのが良いのではないでしょうか。審査会はノーベル賞を授与し,劉暁波氏の「近くに立つ」ことで中国の民主化を訴えていますが,中国はこのメッセージをどのように解釈するのでしょうか。今後の動向を見守りたいと思います。ご質問ありがとうございました。(ゼミ生 camel)