常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

Who gives a hoot about making sense?

10月1日に全国ロードーショーが決まっている映画「ガフールの伝説」(原題Legend of the Guardians: The Owls of Ga'Hoole)について,JT Onlineにあったレビュー記事の見出しを採り上げます。
Who gives a hoot about making sense?
http://search.japantimes.co.jp/cgi-bin/ff20100924a2.html
この映画はこうもりとネズミが部分的に登場する以外は,主人公をはじめすべてフクロウ。見出しのhootは「フクロウの鳴き声(ホーホー)」という意味で,それを意識したものです(『プログレッシブ英和中辞典』小学館)。また言うまでもなく,whoとhootは/hu/音で韻を踏んでいます。
続いて,見出しの解釈にうつります。give a hootはふつう否定の形で使われることが多く,辞書にはnot care [give] a hootで「少しも構わない」とありました(『研究社 新英和大辞典』第6版,研究社)。見出しは形こそ疑問文ですが,Who~?で「誰が〜か?いや誰も〜ない」という修辞疑問(rhetorical question)になっており,意味は「否定」になります。
さらに,この映画は,監督Zack Snyderの代表作品Three Hundred(2006)をはじめ,他の映画の要素が数多く盛り込まれているらしいのですが,それがあまり効果的ではないというのが筆者の見解。
以上から,ここでのmake senseは,「作品が意味をなす」と解釈でき,見出しのWho gives a hoot about making sense?は「作品の意味(もっと言えばZack Snyder監督の意図)はよくわからないが,そんなことは誰も気にしない」という意味になると考えられます。(院生 小山本)

cf. http://wwws.warnerbros.co.jp/guardiansofgahoole/