常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

JACETテスト研究会サマーワークショップ感想(camel編)

小山本先輩やpersimmon君と同様に自分もJACETテスト研究会サマーワークショップに参加してきました。普段testingについてあまり深く学んだ事がなかったので,短い時間でしたが実りのあるワークショップとなりました。今までずっとテストを「受ける」立場にいたので,テストを「作成する」視点を持っていませんでした。今回このワークショップに参加してテストを「受ける」生徒も大変ですが,テストを「作成」する先生も大変なのだと身をもって実感しました。

ここでは,ワークショップを通してとても勉強になった錯乱肢について述べさせていただきます。錯乱肢というのは正答以外の選択肢を言います。午前中に少しtesting理論の講義を受けた後,実際に受講者がテストを作成してみるセクションがありました。自分はそのセクションで多項式選択問題(multiple-choice questions)を作成してみたのですが,グループワークの中で自分が作成した問題は悪問であることに気づきました。自分の作った問題は錯乱肢(distractors)が簡単すぎたのです。自分の問題は錯乱肢が簡単すぎてしまったために問題の難易度が極端に易しくなってしまいました。今度は錯乱肢を正答に近づけて難しくしてみると,今度はあまりにも錯乱肢と正答とが近すぎて,解釈によっては錯乱肢でも正解になってしまう状況が生まれてしまいました。錯乱肢を作る際のキーワードとして講師の先生がおっしゃっていたのは,“Close enough, but not correct.”(「正答」に近いが,正しくはない)です。これを常に念頭に置いておかなくてはならないのです。作成するテストが何を目的としているのか明確にした上で,テスト項目の長さ,項目数,錯乱肢の数や難易度を考慮しなくてはならないことがわかりました。

テスト作成だけではなく,作成のあと「採点」をするのも教師の仕事です。テストの点数次第では「人」の人生を左右してしまうかもしれません。責任が伴う分,改めてtestingの重要さと大変さを思い知りました。昔,定期テストの点数が悪くて点数を確認した直後,返却された用紙を丸めてゴミ箱に捨てたクラスメイトがいました。その先生は激しくその子を折檻してゴミ箱から用紙を拾わせていました。本日教師の立場でテストを「作成」,「採点」する中で当時の先生が憤慨されていた理由を少し理解することができました。とても勉強になったので,今後もこのようなワークショップに積極的に参加していこうと思います。(ゼミ生 camel)