常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

First the Bastille, now the turnstile

今日のDY(7/19)の11面にフランスでの地下鉄無賃乗車についての記事がありました。今回はその見出しからです。
First the Bastille, now the turnstile
Paris Metro cheaters who see themselves as revolutionaries find that solidarity is the ticket when paying those bourgeois fines.
正直,この見出しを自分が見た時は何のことだがよくわかりませんでした。ただ,田邉先生が今日のDYではこの見出しが面白いと教えてくださったので,調べてみました。
まずthe Bastilleは「⦅Parisの⦆バスティーユ監獄⦅1789年7月14日フランス革命の際に民衆が破壊した⦆」とありました(『リーダーズ英和辞典』第2版,研究社)。これに対し,turnstile「(地下鉄などの)回転式出札口」(『プログレッシブ英和中辞典』小学館)を意味します。つまり「はじめ(昔)はバスティーユ監獄を破壊したのに対し,現在は改札を壊して(超えて)いく」ということをBastilleとturnstileを文字りながら意味しているのです(ただ発音は/i:/と/ai/で異なるので注意)。
さらに小見出しのsolidarityですが,「団結,結束」という意味の他に「連帯責任」があり,ここではfines(罰金)を保険会社と共同(連帯責任)で払うことを指しています。また,「連帯責任」について記事の中で“All for one, one for all”が引用されていますが,これはデュマの小説Les Trois Mousquetaires(『三銃士』)でお馴染みのphraseです。今回の記事の舞台フランスを意識しているのは言うまでもありません。(院生 小山本)