常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

pork-barrel

久しぶりのガリガリ君です。THE JAPAN TIMES(7月7日付け)にあった普天間問題に関する記事から2つの表現をご紹介します。
The central government has long pressured local leaders to accept Nago as the replacement site for the Futenma base while promising massive pork-barrel budgets if they approve the plan, he said.
This "carrot and stick" tactic of the central government has sharply divided communities like Nago into probase and antibase camps, Watanabe pointed out, adding that such "a tragedy" should not be repeated.
鳩山前政権の公約にあったように「最低でも県外」への基地の移設ができなくなった今,多くの沖縄県民の反感を買いながらも「県内移設」は避けられないようにも思えます。そこでバトンタッチした管政権は地元の代表者に辺野古移設への同意を求めると同時にpork-barrel budgetsを約束しました。pork-barrelとはアメリカの俗語で「〈政治(家)などが〉利益誘導型の」という意味です(『ジーニアス英和辞典』第4版,大修館書店)。つまりお金でこの問題を解決しようということでしょうか。

また同紙はこの政策を"carrot and stick" tacticとも表現しています。carrot and stickは「馬の大好物のニンジンと鞭」から転じて「飴と鞭」という意味になります(『ジーニアス英和辞典』同上)。確認のため,この表現を『大辞林』(第2版,三省堂)で調べたところ「(ビスマルク社会主義運動に対する政策を評した言葉から)譲歩と弾圧とを併用して行う支配または指導の方法」と書いてありました。このような気前のいい話(largess)には相応のデメリットがあることを理解する必要がありそうです。(ガリガリくん)