常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

hipを追いかける

通学途中の車内でTHE DAILY YOMIURI(06/24/10付け)に目を通していると「おやっ」と思う見出しがありました。

Young, hip and hanging out at museums
OSAKA-Museums in Japan are abuzz with visitors aplenty, more so than in any other nation- but they are not all solemn art lovers attempting to cultivate their tastes. Observers say the main contributing factor to booming attendances is a perception among young people that visiting museums is cool.

記事は,日本での美術館や博物館の入場者数が以前より増加傾向にあると伝えています。最近では来場者の年齢層は幅広く年をとった絵画愛好家だけではなく,若い人といった若年層にまで広がっているようです。
目に留まったのは見出しの冒頭“Young, hip〜”です。両方とも中学生時に習う簡単な単語ですが,処理の仕方に悩みます。「腰回り」という意味のhipがyoungと共起しないように感じました。もしかしたらhipにはそれ以外の意味もあるのではと思い,辞書をおもむろに開いてみました。すると,hipには「腰,腰回り,ヒップ」だけではなく,「《略式》物知りの,情報通の,流行を追う;かっこいい(cool),最新流行の」という意味もあることがわかりました(『ジーニアス英和辞典』第4版,大修館書店)。最後の部分にある“a perception among young people that visiting museums is cool”からも後者の意味が適切であることが伺えます。
hippieという人々が1960年代からアメリカで登場しました。社会のあり方を疑問視し,反体制的な行動をとってきた人々です。その語源を調べてみると「hip(進んだ)+-ie(やつ)」と出ていました(『プログレッシブ英和辞典』小学館)。身近なところでhipは「腰回り」という意味以外にも使われていました。田邉先生が提唱されている「?→!」が頭の中で起きた瞬間でした。(ゼミ生 camel)