常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

riddleだけではずるい?

皆さん,前回私が出したriddleには挑戦していただけたでしょうか?
http://d.hatena.ne.jp/A30/20100523/1274595826
正解は……「river」です。 大仏くん,御名答!!彼のコメントにも書かれていますが,この問題でのforkは「(食器用の)フォーク」ではなく,「(道・川の)分岐点」であり,mouthは「口」ではなく「河口」の意味です。(『ジーニアス英和辞典』第3版,大修館書店)
さて,私は今回の記事はこのriddleの答え合わせだけで終わらせる予定でしたが,友人から「それはずるいでしょ」(Nah, that's not fair! You just can't get away only with this!)と言われたので,もうひとつ書かせていただきます。
水曜3限の通訳演習の授業で配られたプリントにこんなことが書かれていました。
「That's not cricket.という表現はどんな意味でしょう?」
直訳すると「そんなのクリケットじゃないよ」ですが,この質問はそんな答えではないのは明らかです。
そもそも私はクリケットとはスポーツであるということしか知りませんでした。クリケットとはイギリス発祥のスポーツです。日本ではまだまだマイナーですが世界ではワールドカップが行われるほどのメジャーな競技です。そして野球の原型であるとも言われています。試合中にティータイムがあり,試合後には敷地内のバーで選手,審判,観客など多くの人が飲み交わし,お互いの健闘を称えるそうです。さらに紳士・淑女のスポーツであるとされ,フェアプレイがとても重要視されます。紳士の国イギリスならではのスポーツという感じがしますよね。
クリケットのことは理解できましたが,先ほどの文はどうなるのでしょうか。実はもう答えが出ています。フェアプレイが重要視されると書きましたが,イギリスでは,クリケットはフェアでなければならないと考えているわけです。したがって,That's not cricket.はイギリスの口語表現で「それはフェアじゃない」という意味になります。まさに私が友人から言われたことですよね。
日本語でも「人の褌で相撲をとる」など,その国に根付いているスポーツ・武道由来の表現がたくさんあります。ほかの国ではどうなのでしょうか?明日はカメ女さんです。(ゼミ生 b.m.04:43)