常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

"男は黙って",黙字だよ

「先生,なんで英語には読まれない字があるんですか」という質問に対してどのように答えますか。そこで今回は発音されない文字,「黙字」(silent letters)について簡単に,まとめてみました。黙字の成り立ちには大きく分けて4種類あります。
1)古英語から受け継がれてきたもの。
例:多くの語に見られる語末の e。high, know, gnaw, write, often, castle, climb, walk などの各子音字。
過去には発音されていたが,「発音の経済性」から発音上脱落し,それが音の“名残り”として残った。
2)統一させるためにできたもの。
例:could(←coude)
はじめはcoudeと書かれていたが,wouldやshouldが-ldで終わっていたため,統一させるためにcouldになった。
3)ギリシア語からの借入語
例:psychology(←psȳchologia), Ptolemy, pneumonia, phthisis, mnemonic, gnostic, paradigm(←parádeigma) など。
古典ギリシア語(をラテン語化した形)から直接取り込んだ語彙。これら2重子音(多くは語頭2重子音)は現代英語の音体系へ移行する過程で発音されなくなった。学術語などに多い。
4)ラテン語(あるいは中世フランス語)からの借入語
例:isle(←insula), sign(←signum), doubt(←dubitāre), debt(←dēbitum) など。
ラテン語から中世フランス語へ,そこからさらに英語へと取り込まれた単語。
まだこの他にも由来はあると思いますが,生徒に説明するときの参考になればと思います。
さて,標題の"男は黙って"のもじりわかるかな?(ゼミ院生 小山本)
【参考文献】
大田垣正義. (1992).『先生に聞けない英語の疑問』南雲堂.