常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

ある英語教師のこと

広島大学院時代の同級生が,ことあるごとにその人の名を口にしていた。同時に賛美の言葉が次々に飛び出してくる。「先生はすごかった!」「並みの英語力ではない!」「何カ国語も同時に使えるんじゃ」「論理の人じゃ」
その人とは,広島の原爆慰霊碑文「安らかに眠って下さい 過ちは 繰り返しませぬから」の訳者 雑賀忠義元広島大学教授。訳し方をめぐっていろいろあったらしいが,少なくとも授業を受けた同級生には文才あふれる語学の人,そして信念の人であったという。
文人でもあったその教授の直筆の訳文原稿が発見されたというニュースが全国を駆けめぐった。以下はそれを伝える「東京新聞」(5/26/10)の記事(共同ニュース配信)。辞書では一般に「慰霊碑」はMemorial Monument,「碑文」はinscriptionですが,広島の原爆に関して言えば,それぞれMemorial Cenotaph,the epitaphが使われます(「安らかに眠って下さい。過ちは繰り返しませぬから」"Let all the souls here rest in peace; For me shall not repeat the evil.")。「直筆」はhis own handwriting。(UG)