常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

さすがです!

今日の2限,田邉祐司先生の授業の中で(日本語の)言葉使いが話題になりました。そんなときに,絶妙なタイミングで後輩のゼミ生から素敵なメールが届いたので,今回は英語ではなく,日本語を取り上げたいと思います。そのメールには以下のような文が書かれていました。

「小山本さん,さすがです。」

まず「さすが(流石)」を辞書で調べると,複数の意味・用法があることに気づきます。この場合は,「評判や期待のとおりの事実を確認し、改めて感心するさま。なるほど、たいしたもの。(例:この難問が解けるとはさすがだ)」あたりでしょう(『大辞泉小学館)。一見,意味としては正しいように思えますが,田邉先生が普段からおっしゃっているように,言葉は「生もの」です。場面や人間関係といった文脈によって,その言葉のニュアンスは微妙に変化します。
ここで鍵となるのが「使う相手」です。「さすがです」は立場や年齢が上の人が下の人に向かって使うのが一般的。先生や上司といった人が,生徒や部下に向かって使う分には問題ありませんが,目上の人に向かって使うと,上から目線の印象を与えてしまう可能性があります(この後輩の場合,普段からからかい合っていて,また,私もあまり先輩面して威張るのは好きじゃないので,そのせいかもしれませんが)。
私もよく日本語(特に謙譲語)を間違えて使ってしまい,その都度,田邉先生に訂正していただいています。私たちはnative speakers of Japaneseなので,日本語が「正しく使える」と考えがちですが,その認識を一度疑ってみる必要があるのかもしれません。(院生 小山本)