常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

fender benders

Googleの自動運転車が行動を走行中にバスに接触しました。自動車教習所の言葉を借りれば,「自動運転車の『だろう運転』」といったところでしょうか。DeNAが将来に向けて自動運転タクシーの開発をしているというニュースもありますが,その実現は危ぶまれそうです。自動運転を高らかにテレビなどで宣伝している自動車メーカーにも,このニュースは影を落としそうです。CNN(電子版,2016年2月29日付),CNBC(2016年2月29日付)と見ましたが,前者は,「自動運転でも油断はできない」という切り出し,後者は見出しから,「事故が起きましたけど,それが何か」と,何の問題も無い様に書いている印象でした。今回は,そのどちらでもなく,BBC(電子版,2016年2月29日付)から表現を拾います。

The company's self-driving cars have clocked up well over a million miles across various states in the US, and until now have only reported minor "fender benders" - the American slang for a small collision.

http://www.bbc.com/news/technology-35692845

fender benders”を取り上げます。『オーレックス英和辞典』(旺文社)には,「⦅米口⦆(自動車の軽微な)衝突事故」(“AmE informal a car accident in which little damage is done”— LDOCE5)とありました。ですが,これはイギリスのニュースです。なぜこのアメリカ英語的表現が使われているのか疑問に思いました。この事故はアメリカで起こり,大事には至っていないため,「軽微な衝突事故」という意味の語で,なおかつアメリカ英語的な語であるfender benderが選択されたと考えました。この語には,「アメリカ人ならこんな時にこう言うでしょう」というBBCの解釈で鍵括弧が付いていると考えます。さらに,試験運転中に起こった事故は過去にもあるため,複数形になっております。
前々から,自動運転をどうも怪しいと思っておりましたら,予想は見事に的中しました。(Kawada)

http://money.cnn.com/2016/02/29/autos/google-self-driving-car-accident/

http://www.cnbc.com/2016/02/29/