常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

Armageddon

ギリシャでは財政緊縮策の賛否を問う国民投票が始まりました。投票は日本時間6日午前1時まで行われます。
EU warns of Armageddon if Greek voters reject terms

"Without new money, salaries won't be paid, the health system will stop functioning, the power network and public transport will break down," warns President of European Parliament
http://www.telegraph.co.uk/finance/economics/11718296/EU-warns-of-Armageddon-if-Greek-voters-reject-terms.html

気になったのは見出しの”Armageddon”です。「アルマゲドン」といえばあの有名なSF映画ですが、意味を考えたことはありませんでした。
ジーニアス英和辞典第4版(大修館書店)』によると、「1 ;聖書;ハルマゲドン<世界の終末における善と悪との大決戦(場)>」「2 世界的な大決戦(場)」と書いてありました。LDOCEには” a terrible battle that will destroy the world”とあります。
投票結果が反対多数となった場合、世界にどんな影響が出るのでしょうか。この一語でその恐ろしさが伝わってきます。

アルマゲドンとハルマゲドン、一体何が違うのか調べてみました。
ハルマゲドンとは、聖書のヨハネの黙示録に一度だけ出てくる、世界の終末における善と悪の最終決戦が行われる場所のことです。ヘブライ語で「メギドの丘」を意味し、メキドはイスラエルの実際の地名だそうです。

ハルマゲドンがアルマゲドンに変わった過程ですが、まず旧約聖書ではヘブライ語でハルマゲドンと書かれていました。しかし新約聖書ギリシャ語表記になったとき、その頃ギリシャ語では”h”音の脱落が始まっており、”h”がはっきりとした文字で表記されていなかったようです。その新約聖書ラテン語や西欧諸語に訳されたので、そのときには”h”が完全に脱落し、”Armageddon”になったということだそうです。

言葉というのは長い歴史を経て変わっていくものであることを実感しました。また映画の影響でしょうが、日本語ではアルマゲドンもハルマゲドンも両方使われていて面白いと思います。(bookmark)