常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

日本英語教育史 月例会感想

先日の日曜日、私もゼミの他の皆と同じように日本英語教育史学会の月例会に参加致しました。今回の学会のテーマは、寺沢先生のご著書『「なんで英語やるの?」の戦後史』を素材に、「日本社会と英語」というテーマについて考える、というものでした。

学会の流れとしては寺沢先生が先生のご著書の要約、そして、英語が必修科目になった要因を中心にお話をされた後に、青田先生、榎本先生のお二人からのご意見、質問などを頂くという形でした。

寺沢先生のお話は英語が初めは選択科目として始まった後、いかにそこから必修科目となったか、何が必修化促進要因であり、何が阻害要因であったのか、ということについてでした。その中で、一番私の心に残った点は、中学英語を必修化する正当性は何か、そして、「全員にニーズのない科目は、必修化すべきでない」という戦後新教育の理念に対する答えを出さないまま、英語が必修科目になったという点です。

今でこそ国際化などという言葉があるように、日本に訪れる外国人数、海外に出て行く日本人の数を考慮すると、英語を学ぶ必要がある学生というのは多いと感じますが、戦後の英語の必要性というものは少ないものであったと思います。そういった状況にも関わらず英語が必修科目になった要因をお聞きするのは、英語が必修科目であることに何の疑問も抱かない私としては、非常に興味深く感じました。

現代でも、英語を学ぶ必要なんてない、英語が苦手だし嫌い、と考える学生は少なからず居ると思います。機械翻訳といったものもさらに進化する可能性があると思います。また、英語をほとんど使わずに国内で一生を終える方もいると思います。そういった状況の中で、もし、仮に自分が教育者になったとして、生徒に英語学習の必要性を説く、英語を学ぶ目的、理由といったものを教えるとなった際の難しさを感じながら、講演をお聞きしました。私自身も、英語学習の必要性について改めて考えさせられるような学会のテーマでした。

最後になりますが、学会にて発表をしてくださった先生方、そして、このような機会を与えてくださったUG先生に深く感謝致します。自身が何気なく受けてきた英語教育の歴史、意義そのものについて考える、貴重な体験となりました。(Astroriver)