常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

学会支部大会のお知らせ

朱牟田夏雄や『英語教育』の演習欄と明治学院大学でご一緒させていただいた筒井先生のお話がありますので,校務がなければ行きたいところなのですが…残念!(UG)

2014年度大学英語教育学会(JACET)関西支部春季大会

日時 6月14日(土)10:00−17:50
場所 大阪薬科大学
詳細情報http://www.jacet-kansai.org/index.html

問合せ 近畿大学・照井雅子http://www.jacet-kansai.org/contact.html

講演:斎藤兆 史(東京大学)「朱 牟田夏雄の英語教育論とJACETの原点:『教養』英語再考」

概要:JACETの 初代会長を務めた朱牟田夏雄先生は、『トム・ジョウンズ』や『トリストラム・シャンディ』の名訳で知られる英文学者だが、長らく東京大学教養学部で英語を教え、また英語教育に関する論考をいくつか残している。また、先生の後輩や教え子から聞いた話では、英語教師の中でも圧倒的に英語のできる教師であったらしい。拙話では、実用コミュニケーション中心主義を奉じてきた英語教育に対する反省の意味も込め、朱牟田先生の英語教育論に立ち返ってみたい。

スペシャル・トーク
筒井正明(明治学院大学名誉教授)「英文和訳再考:「英文解釈演習室」の現場から」

概 要:高校や大学での英語教育は、テキストの英文の形をその文法や構造から解説し、内容を具体例などをあげつつ思想的・情緒的・心理的・社会的に説明して、拙くとも母国語として意味の通ずる和訳文を与えることにより英文内容を母国語文化の中で理解させ、もって英文の内容を学生の精神の糧と化するものでなくてはならないと思います。(その意味で英語の授業を英語で行おうとする試みは、みずから授業の質を低めるものでしかないでしょう。)
すなわち、英語の授業は内容的思想的な会得を含んで文化的に行われなくては意味がありません。長年、「英文解釈演習室」(大修館『英語教育』)を執筆し、大学で英語を教えてきた経験から、具体的な英文に即して英語の授業の在り方についてお話しさせてもらいたいと思います。

ワークショッ プ:
染谷泰正(関西大学)「英語教員のための字幕翻訳入門―『語学教育における翻訳』(Translation In Language Teaching: TILT) の実践例とし て」

概略:CEFR (2001) で は、外国語教育で養成すべき能力として、従来の受容、産出、相互交渉の各能力に加え、新たに「仲介能力」(mediation competence) というカテゴリーを提唱し、その具体的な例として通訳・翻訳を挙げている。これを契機に、いわゆるTILTについての関心が世界的に高まってきている。本ワークショップでは、これを出発点として、「翻訳」教育がどのような点で英語教育に貢献することができるかを、字幕翻訳を例にとって具体的に説明
する。目標:1) TILTの理念的背景を理解する、2) 翻訳」と「和文英訳」の違いを理解するとともに、翻訳とはどのような行為であり、英語教育の目標とどのような整合性があるのかについて理解する、3)「字幕翻訳」を授業に導入するために必要な基本的スキルを習得する。

注)
参加者は作業に必要なソフトウェアや映像データを収録するためのUSBメモリー(2GB程度)を持参のこと。