常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

Entity

本日は”entity”を取り上げます。『Wisdom英和辞典(第三版)』(三省堂)を見てみると「(独立した)実在物,存在物,実体;統一体」などという訳が出てきました。”entity”は財務会計管理会計のどちらにとっても重要な概念になります。
まずは財務会計上の観点から”entity”を考えます。そもそも会計は特定の経済主体の取引活動を記録する技術です。このため,誰が行う取引であるのかを明確にする必要があります。株式会社の場合は会社自身が”entity”としての「主体」を有すると考えます。1つの会社を主体と考えて財務諸表を作る場合は,個別財務諸表を作成すると呼びます。一方会社自身が特定の会社を支配していた場合はどうなるでしょうか?この場合,法律的には2つの会社は独立していますが,支配会社は被支配会社を自由に動かすことができます。つまり別々の会社である場合も経済活動の面から見ると1つの会社であると考えられるのです。このとき支配会社を親会社,被支配会社を子会社と呼びます。親子会社の経済活動を合わせて報告するときは連結財務諸表を作成します。この場合の”entity”は企業集団を1つの主体と考えます。
 一方管理会計は,管理したいものを”entity”とします。例えば特定の製品を管理したい場合は,製品を”entity”として,作るためにかかった原価を製品に集計するのです。次に特定のマネジャー,例えば工場の特定部門を担当する人の責任を”entity”とする場合は,その部門で費やした原価を集計することになります。これらにより特定部門のマネジャーの責任により,いくらの原価が発生したのかを捉えることができます。ほかにも,プロジェクトを”entity”として捉えることもできます。例えば特定の設備投資を考える場合,その設備を購入することにより流出するであろうお金や流入するであろうお金を捉えるのです。また,近年では戦略を”entity”として捉えるという方法も考えられております。以上のように管理会計の場合は管理したい対象を主体と考え,原価を集計していくのです(Ume)。