常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

教育実習報告#2

私は,5月20日から6月7日まで母校の仙台市立○○中学校で教育実習を行った。この3週間の実習を振り返り,実習内容に応じてどのようなことを学んだか,そして今後の自分の人生にどう活かしていくかということについて述べたいと思う。

1)授業実習
私は中学1年生の4クラスを担当し,計26時間の授業を行った。これほど多く授業実習をさせて頂くことは,大変貴重な経験であり,指導教官の先生をはじめ多くの先生方に大変感謝している。まず,授業観察では,担当するクラスの生徒たちの授業への積極性や習熟度,個々の様子を観察した。この観察はのちの授業実習で大変活かされた。また,先生の発問の仕方から指示の仕方,授業の構成まであらゆる部分を観察し,授業実習の参考にした。
そして,授業実習では,授業観察で気づいたことを積極的に取り入れようとしたが,実際にはそうはいかなかった。初めにつまずいたことは声の出し方である。大きな声で話すことは意識していたが,のどから声を出していたために全く届かなかった。先生から怒るときのような声を意識するようご指導いただき変わることができた。自然とお腹から声が出るようになり,それだけでなく,生徒に自分の声がしっかり届いていると思うと自信を持って授業を行うことができたのである。声一つでこんなにも授業が変わるのだということを実感できた。
次に,生徒へのフィードバックの仕方である。私の発問に対して生徒が間違った解答をした際、最初は間違いを直すだけになっていた。その後の生徒の表情は「言わなければよかった」という顔をしていた。そこで私は,大切なことは正解であるかどうかではなく,生徒が自分なりに考え表現できたことであると気付いたのである。その後は、「○○さんはこういうところに気づいてくれた」というふうに,生徒へのフィードバックを意識して授業を行うことができた。
最後に、この実習中最初から最後まで課題として取り組んでいたことが2点ある。1つ目は,いかに生徒たちが楽しく,かつ,わかる授業にできるかということであった。楽しいだけで何も身につかない授業や一生懸命説明するだけで生徒たちの活動がない授業にはしたくないと考えていたからだ。そのため,一つのタスクを考えるのに何時間も費やし,本当に何よりも大変だった。そこで工夫したことは生徒たちの会話量を増やすことだった。タスクでは,個人で活動させるか,もしくはグループ内で出題者と回答者を作るようにした。ピクチャーカードや映像機器等を積極的に取り入れた。生徒たちの活動も増え,集中して取り組んでいる生徒も多かったように思う。しかし,タスクの内容が難しすぎたり,グループワークだとなかなか日本語での会話が多くなってしまったりと,成功したと思えるタスクは数えるくらいだった。タスクをする中で本当にその授業の目的が果たせるのか、生徒の英語の力は身についているのかということを問いかける毎日で,「楽しい授業」と「わかる授業」を両立させることは最後まで課題として残ったと思う。

2点目は,指示出しである。明確で簡潔な指示を出すことは予想以上に難しかった。文法の説明でも,丁寧に話そうとすると長々と話してしまう。長ければ長いほど生徒は私の話を聞いていないのが分かった。グループワーク時の指示出しは研究授業でも指摘された。学習形態を変える前にしっかり指示をすること,アクティビティの最中に指示をするときは聞く姿勢をまず作らせることはこれからの課題である。このように,発見した課題を忘れずに改善していきたい。

2)学級活動や部活動指導
休み時間や給食の時間,清掃時間,放課後などの学級活動や部活動指導では,先生の生徒に対する接し方,そして,一人一人の生徒の個性を観察することでさまざまなことが見えてきた。特に,先生の姿を拝見していて,一人ひとりの個性を活かす学級を作ることができていると感じた。どんな生徒も受け入れようという気持ちを大切にしていたと思う。大きな声で騒ぐ生徒や周りと協調しない子がいてもその子を受け入れ,否定するようなことはせず,先生なりに上手く誘導しているのだ。私だったら注意してしまいそうなこともぐっと我慢すると,周りの生徒が動き,解決しているという場面があり,何でもかんでも教師が働きかければよいというのではないということを学んだ。時間にルーズになるなど学級全体が緩んできたなと思うときがあったのだが,「このままでいいかな。他のクラスを見てごらん。」という風に生徒に真剣に投げかけると、その日の掃除の態度から生徒たちの行動は引き締まり,ガラッと変わった。先生の真剣な言葉は生徒たちにも届き,自分たちで変わっていくのである。中学1年生だから細かく先生が指導しているものだと思っていたが,思っている以上に自分たちで考えて行動できるのである。指導教官の先生も「子どもたちは私たちが思っている以上に大人で,先生の言葉から大切な部分をしっかり聞き取っている。」と何度もおっしゃっていたので,その意味が少しわかった気がした。
 最後に、部活指導や行事を拝見していて,先生の仕事は本当に幅広いと感じた。授業だけを見ていると授業で見せる生徒の顔しか知ることができないが,部活や行事でしっかり生徒を見ていることで生徒の違う顔を見ることができ,個性を知ることができるので非常に大切な仕事であると思う。また,先生方も本気で指導していた。その本気さが何においても重要であると実感した。

3)3週間を通して
この3週間を通して,私は一言で楽しかったとは言えない。本当に辛かったし,自分は教師に向いていないのではないかと思うことも少なくなかったからである。先生方を見ていて,「果たして自分はこんな風に生徒を引き付けられる力があるだろうか。自分にはそんな力はない。」と今でも正直不安に思う。しかし,向いているか向いていないかを考えるよりも,「向かせる」努力をするべきだと3週目に入って感じるようになった。努力をする前から考えることではないと思った。少なくともこの3週間,試行錯誤を繰り返し,よりよい授業を作ろうと最善の努力をしたと胸を張って言える。そして,以前よりも生徒の目線で考えられるようになった。今回,学んだこと成長できたことを大切にしていきたい。
また,この実習を通して,まず鍛えなくてはならないのは,何よりも英語の力である。自分の英語力の低さに恥ずかしさを覚えた。英語を教えることの責任をしっかり自覚し,英語の知識を身につけていきたい。最後に,教師という仕事は本当に肉体的にも精神的にも大変だと思う。しかし,自問自答を繰り返しながら,成長できる素晴らしい職業である。その分,生徒の変化や成長する様子を感じた時の喜びは大きいと思う。まだまだ自分には足りない面がたくさんあるが,悩んだり葛藤したりすることの大切さを実感できた。
(Lake of Hope)