常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

研究発表会のお知らせ

JACET談話行動研究会では、9月20日(木)に津田ひろみ氏による研究発表会を立教大学にて
開催いたします。どうぞ奮ってご参加ください。

津田ひろみ氏研究発表会
講師:津田ひろみ氏(明治大学
演題:中学校英語授業におけるグループ・ディスカッションの談話分析:
   社会文化的視座に立つ一考察
日時:9月20日(木)午後4時30分?6時
会場:立教大学池袋校舎14号館D602教室
予約:不要

発表要旨:

中学校英語授業におけるグループ・ディスカッションの談話分析:
社会文化的視座に立つ一考察

 本発表では、中学校英語授業というフィールドで行われた少人数グループによる教室談話の分析を通して、
その背後にあって言語使用を暗黙の内に導いていると考えられる社会文化的前提あるいはイデオロギー
明らかにしたい。
 データは、中学3年生で、4〜6名からなるグループの教室談話である。本発表では6 件のグループ教室談話のうち、
特に興味深い言語使用のみられた1件について分析考察を行う。Heath(1983)などを参照し、社会文化論的視点に
立つ談話分析を行なったところ、対等な立場に立って相互行為が行なわれていると思われた学習者たちの間に、
実際には成績による序列や力関係が存在し、時には「ミニ教室」が生起していたが、相互行為はそうした
学習者間の社会的役割分担を反映していることが明らかになった。加えて、小さな間違いを契機に序列の逆転、
いわゆる「どんでん返し」が見られたが、それは学習者間の序列が流動的であることを示唆するものと言える。
発表では、相互行為の具体例に基づき社会文化的視座に立つ考察を深める中で、最近ますます重要性を増している
学習者の自律に焦点化した協働学習の現場に注目し、そこに隠れているイデオロギーを明かにする手法を模索する。