常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

run

『ヒーローズ シーズン3』の第2話から英語表現を拾います。多重人格という能力を持つNikkyは,名前を変えて政治関係の仕事に就きました。すると,ある記者がNikkyの過去を問いただし,スキャンダルとして報道すると言ってきました。その時の記者のセリフがこれです。
I’m running this story with or without your comments.
ここで取り上げるのは,runの使い方です。「走る」ではなく,「掲載する」という意味で使われています(『ジーニアス英和辞典』第4版,大修館書店)。さて,「掲載する」という意味の英単語はほかにもappear,insert,carryなどが挙げられますが(『ジーニアス和英辞典』第2版,大修館書店),なぜここでrunを使っているのでしょう。
まずappearですが,これはThe article will be appeared on Thursday.のように「主語に記事・広告など無生物」が来ます。さらに事実を述べているだけのような客観性も感じ取れますね。次にinsertですが,I inserted an ad in the paper.のように主に「広告を載せるために」と言うときに使われます。carryの場合ですと,This newspaper carries no advertisement.のように「〈新聞などが〉〈記事など〉を載せる」という意味なので,話しの中心が新聞などに来ます。色々な新聞を比較するときはcarryが適切でしょうか。最後にrunですが,これはアメリカ英語で,話しが走り回り,世の中に知れ渡るというニュアンスが感じ取れます。以上の観点から,ここではrunが使われているのでしょう。(Sugiuchi)