常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

Hitachi set to wade into China water business

日立製作所が中国で水ビジネスを本格展開すると発表しました。これについて今日のDY(03/09/11)にあった記事の見出しを採り上げます。
Hitachi set to wade into China water business
Hitachi, Ltd. plans to provide a Chinese city with a sewage purification system, the first step in entering the water-related business in China on a major scale, according to company sources.
http://www.yomiuri.co.jp/dy/business/T110308006337.htm
今回注目したのはwade into~という表現です。まず,辞書にはwade into~で「〈むずかしい仕事などを〉元気よく始める」とありました(『プログレッシブ英和中辞典』小学館)。
また,wadeの第一義は「(水の中を)歩く, 歩いて渡る;(雪泥草などの中を)やっと[骨折って]通る⦅across, into, through ...⦆」です(同上)。同辞書には例文としては,wade across a river(川を歩いて渡る),wade into a crowd(群衆の中に割り込んでいく),wade in up to one's knees(ひざまで水につかって歩く)などが挙げられており,このことから,このwadeという動詞が「水」と共起しやすいということがわかります。
日本メーカーが中国で包括的な水ビジネスに参入するのは初めてのケースで,かつ欧州企業との激しい競争も予想されるため,決して簡単な事業ではありません。よって「〈むずかしい仕事などを〉元気よく始める」という意味のwade into~が用いられているのはわかりますが,加えて今回はwater businessと掛けて意識的に用いられていると考えられます。(院生 小山本)