常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

kismet

今日も引き続き『ベンジャミン・バトン―数奇な人生―』から英語表現を拾っていきます。
ベンジャミンは青年(見た目はおじいさん)になると,家を出て仲間と7人で航海に出ました。海では色々な経験をし,26歳になってようやく自分の家に帰ります。そこで,家を出てから文通していたデイジーと再会します。今回はその時デイジーの言ったセリフに注目します。
I just can’t believe we’re both here. Must be fate. No, no, what do they call it? Kismet.
ここで採り上げるのはkismetという単語です。意味は「運命,宿命」でfateとほぼ同じのようです(『オーレックス英和辞典』旺文社)。しかし,LDOCEを見てみると以下のように書いてありました。
fate: the things that happen to someone or something, especially unpleasant things that end their existence or end of a particular period
kismet: literary the things that will happen in your future
以上からkismetの方がfateより堅い表現で,マイナスなニュアンスがないことが分かります。
さらにkismetには「アラー神の御意,神の定めた運命」という意味があります(『オーレックス英和辞典』同上,『ジーニアス英和大辞典』大修館書店)。これはイスラム教の言葉でトルコ語が源であるとされています。(ゼミ生 persimmon柿生)