常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

bad eggs

先日のDY(01/22/11付け)二面の記事から英語の落ち穂を拾います。
Anti-bully rules being ignored
20% of school boards don't meet standard on suspending bad eggs
今回取り上げる表現はeggです。ここでは「卵」という意味はなくて「⦅古風⦆⦅bad, dumb, old, good, toughなどを伴って⦆人, やつ(person). ▼通例男性に対して用いる」という意味があります(『プログレッシブ英和辞典』小学館)。この文脈では「性行不良生徒・児童」となります。
この調査は深刻ないじめや暴力行為の増加を受けて文部科学省が行ったものです。見出しにもある通り全国の市町村の約2割は出席停止への規定がないことが明らかになりました。学校教育法では退学や停学といった懲戒が認められていますが,小学校・中学校(中等教育学校前期課程を含む)は義務教育期間であるがゆえ公立小中学校での懲戒は認められていません。しかし,一部の生徒が学校の風紀を乱してしまい,結果的に「他の生徒の教育を受ける権利」を妨害してしまうケースが続出しました。このような状況を受けて制定されたのが学校教育法第35条の「児童の出席停止」です。同条は以下のことを規定しています。
市町村の教育委員会は,次に掲げる行為の一又は二以上をくり返し行う等性行不良であつて他の児童の教育に妨げがあると認められる児童があるときはその保護者に対して,児童の出席停止を命ずることができる。
一 他の児童に傷害,心身の苦痛又は財産上の損失を与える行為
二 職員に傷害又は設備を損壊する行為
三 施設又は設備を損壊する行為
四 授業その他の教育活動の実施を妨げる行為
このような法律があっても実際の現場ではあまり浸透しておらず同紙によると2009年度の適用件数は全国でわずか43件です。少ない件数の理由は履行の権限を有しているのは「市町村の教育委員会」でその義務を負うのは生徒ではなくその「保護者」ということで手続きが長くなってしまうのがあげられます。またいじめ自体が水面下で起きていることが多く認知しづらいことも考えられる要因です。すべての問題が出席停止によって解決することはありませんが,もし毅然とした態度で出席停止を命じていればいじめによる自殺を一歩手前で食い止められた場合もあったかもしれません。(ゼミ生 camel)