常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

reservation

中京大中京高校からアーセナルFCに入団が決定している宮市 亮選手。アーセナルFCコーチのArsene Wenger氏もその才能に大きな期待を持っています。ただし,DY(01/19/11)によれば,Wenger氏は少し残念がっています。
その原因は,全国高校サッカー選手権(All Japan High School Championship)で,試合後のインタビューに答えたときの宮市選手の発言。Cristiano RonaldoやThierry Henryという有名選手と比較されていることに対し,控えめで謙遜したコメントをしたのですが,Wenger氏にはこれが向上心の低い,負けん気の弱いような印象を与えてしまったようなのです。以下は,Cristiano Ronaldo選手が入団したときの様子について書かれた部分です。
When Ronaldo, for instance, arrived at Manchester United in 2003, himself just 18 at the time, he exhibited no such reservation about his own ability and immediately set about imposing himself on the defenses of the division.
今回採り上げるのはreservationという単語。reservationというとDid you make a hotel reservation for tonight?(今夜のホテルは予約しましたか)のように「予約」(『プログレッシブ英和中辞典』小学館)という意味で覚えている人も多いかと思います。
しかし,今回のreservationは「予約」ではありません。文脈から想像できるかもしれませんが,reservationには「(…について)控え目にすること, 遠慮, 隠し立て」(同上)という意味があります。これはreserveの語源が,ラテン語のreservāre(re-後ろへ+servāre保つ)に由来するためです(同上)。
日本人なら宮市くんの発言が謙遜だということはすぐにわかりますが,語部文化であるイギリスの,それもトップレベルのサッカー界ともなれば,big-mouthは必要なのですね。(院生 小山本)