常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

overboard

インターネット上でアメリカ人同士のやりとりを何気なくながめていると面白い表現に出くわしました。それがこれです。

Isn’t this going a little overboard?

正直一見しただけではどんな意味があるのか全く見当もつきませんでした。そこで,辞書で意味を調べてみると,overboardには副詞で「船外へ,船の中から水中に」と出ていました(『スーパーアンカー英和辞典』第4版,学研教育出版)。さらに調べてみるとgo overboardで「[しばしば軽べつして](…の)度を過ごす,(…を)やりすぎる(with)」という意味があることがわかりました(『スーパーアンカー英和辞典』同上)。

上記のことから英文の訳としては「ちょっとやりすぎなんじゃない?」といったところでしょうか。船から飛び出して海に飛び込んだ人に対して言うように,この場合発話者はどうやら相手に「注意や忠告」を促しているようです。

余談ですが,overboardの-boardからふとずっと昔に田邉先生から教えていただいたstarboardという単語を思い出しました。意味は「船の右舷」です。左舷(port)とは逆に位置していて,停泊している時に右舷は常に海に向かっています。したがって,夜になると星と向かって停泊していることになるのです。残念ながらstarboardのstarの語源は“rudder”なので「星」ではないのですが,それでもstarboardという単語に海のロマンを感じます(『リーダース英和辞典』第2版,研究社)。(ゼミ生 camel)