常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

Byzantine

今回もTIME(7/24/10付け)のApocalypse Notという記事から英語表現を取り上げます。
The financial-reform bill that the President signed on July 21 may tourniquet some of the Wall Street’s excesses, but who could explain it? The Big banks remain in intact, with only a byzantine regulatory process standing between them and another bailout.
ここで,注目するのがbyzantineという単語です。『オーレックス英和辞典』(旺文社)によると「ビザンティウムの,ビザンチ帝国の,東方教会(Eastern Orthodox Church)の」という意味です(『オーレックス英和辞典』同上)。ビザンティウムというのは,紀元前7世紀ドリス系のメガラ人が建てた植民地。330年コンスタンチヌス1世がここに遷都してコンスタンチノプールと改称しました。現在はイスタンブールという名で知られています。(『日本語大辞典』講談社
しかし,上記の意味では英文の文意に合いません。そこで,さらに辞書に目をやると「混みいった」や「頑固」という意味がありました(『オーレックス英和辞典』同上)。「込み入った」というのは,大理石またはモザイク張りで装飾に華美をきわめたビザンティウム建築の内部構造から,「頑固」はビザンティウム美術が4〜5世紀から15世紀まで粘り強く続いたことに由来すると考えられます(『広辞苑岩波書店)。
この他にビザンティウムと言えば,4〜5世紀から15世紀頃まで続ビザンティウム帝国に花開いた東方キリスト教芸術であるビザンティウム芸術も有名です(『広辞苑』同上)。(ゼミ生persimmon柿生)