常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

花形

もう新聞ではW杯ネタが扱われなくなってきた今日この頃,persimmon柿生は今回もしつこくW杯に関する英語表現を紹介します。今回取り上げるのはTHE DAILY YOMIURI(7/14/10付け)のSpain’s return helps boost troubled nationで出会った英語表現です。以下の英文を見てください。
A roar of delight rose as team captain and goalkeeper Iker Casillas stepped from the plane and raised the World Cup.
注目してほしいのがroseです。roseと言えばもちろん「薔薇」ですが,上記の英文でその意味では据わりが良くありません。そこで『オーレックス英和辞典』(旺文社)で調べてみると「美人,名花,花形」という意外な語義を発見しました。用例としてthe rose of the party(一座の花)が紹介してあります。以上から上記の英文の太文字箇所は「嬉しさを爆発させたスター」と捉えることが出来ます(persimmon柿生試訳)。
蛇足ですが,roseを用いた英語表現は多くあります。その中でもいくつか日常生活の中で使ってみたいと思った表現をご紹介します。まずA rose by any other name would smell as sweet.(薔薇がどのような名で呼ばれてもその甘い香りに変わりはない;名前よりも実体が大切だ)。これはShakespeareThe Tragedy of Romeo and Julietの一節です(『オーレックス英和辞典』同上)。substance over styleという以前も取り上げたものに似ていますね。http://d.hatena.ne.jp/A30/20100630/1277884724
さらに(There is) no rose without a thorn=Every rose has its(a) thorn.(とげのない薔薇はない,どの薔薇もトゲをもつ;世の中に完全な幸福はない)もありました。
初優勝に湧くスペインですが,真価を問われるのは次回のW杯です。もう一度roseになれるよう頑張ってほしいですね。(ゼミ生persimmon柿生)