常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

時間不足,時間は命

こんにちは,pearです。映画『イエスマン』を見ました。
簡単にこの映画の内容を説明いたしますと,ジム・キャリーが演じる主人公のカールは人との付き合いや人からの誘いに対して“NO”といつも断ってばかり。しかし,ある日知人に誘われて参加したセミナーで何事にも“YES”と答えることを誓わされ,それを境に,彼をとりまく状況が大きく変わっていくというものです。今回は作品中の気になった表現をとりあげたいと思います。
“There’s a time crunch, and time is of the essence.”
この一文は,作品の序盤でカールが友人の誘いを断るときに言う台詞で,日本語字幕では「時間不足,時間は命」となってしました。「〜不足」というとlackやshortageあたりの単語を私は考えましたが,ここではcrunchが用いられています。crunchは『ジーニアス英和辞典』(第3版,大修館書店)に「[通例the〜](のるかそるかの)瀬戸際の時;ピンチ,危機(crisis),試練」とあります。用例としてthe energy crunch(エネルギー危機[不足])ともありました。crunchを用いることでカールが「自分には本当に時間がなくってなくってもう困っちゃうよ〜!」と装おうとしているのがよりリアル味を帯びていますね。
また危機はcrunch以外にclutchとも言えます(『ジーニアス英和辞典』同上)。そういえば,clutchは5月22日の柿生先輩の記事にもありましたね。
http://d.hatena.ne.jp/A30/20100522/1274514500
ブログで知のネットワークが形成されるのを感じたpearでした。(ゼミ生 pear