常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

一発喰らう!

こんばんわ。camelです。
THE DAILY YOMIURI(2010年5月8日付け)の見出しから気になる表現を一つ紹介したいと思います。イギリスの総選挙が先日終わりました。どの政党も過半数である326議席を確保できませんでした。選挙結果は北アイルランドにも大きな打撃を与えたようです。同紙はそれを以下のように伝えています。

N. Ireland leader dealt shock defeat

ここで注目したいのが,dealの「本当の姿」です。私たちは高校生の時,dealと言えばwithと伴って「〜を扱う,〜を処理(対処)する」と習ってきました。
しかし,dealの原義は「分配する」という意味だったのです。(『ジーニアス英和辞典』第4版 大修館書店)その定義の中にも「《略式》[比喩的に]〈打撃〉を〔…に〕与える〔at, to〕」という意味がありました。(『ジーニアス英和辞典』ibid) 確かに車のdealerは契約を取り付ける人でもありますが,同時に車を人々に分配する人でもあります。このことから,アイルランドのPeter Robinson首相は選挙の敗北をうまく処理したのではなく,選挙で痛手を負ったということになります。

機械的に単語を覚えるのではなく,このように文脈の中で関連づけながら語彙のネットワークを広げていきたいと思います。(ゼミ生 camel)