常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

Excuse me

テネシー州の女性がロシアから養子に迎えた7歳男児を「暴力的」などの理由でたった一人で飛行機に乗せ,ロシアに送り返した事実が発覚し,米露間の国際問題に発展しています。それに関して,THE DAILY YOMIURI(2010年5月8日付け)の中のThe Washington Post(syndicated article)から。
“You can’t throw a child on a plane, excuse me, like a kitten,” Astakhov said indignantly as the cameras rolled, gesturing as if he were tossing trash to the ground.
採り上げるのは,弁護士Astakhov氏の発言中の“excuse me”です。もちろん「すみません」ではないのは明らか。『ジーニアス英和辞典』(第4版,大修館書店)には「文字通りに言葉が聞き取れなかったのではなく,相手の不適切な言動に対して不快感や憤りを感じて問い返すこともある」と書いてありました。また,田邉祐司・他著『1日3分脱「日本人英語」レッスン』(朝日新書)にも以下のような説明があります。
Excuse me.には「相手から受けた非難などに対して,こちらの気持ち(反論,立腹,皮肉など)」を伝える」役割もあるのです。つまり,このExcuse me.はnegativeなものへの反撃・反抗なのです。なお,活字でうまく伝えられませんが,発声するときは特にmeの部分を「強め・高め・長め」に発音し,目や表情も「優しい」ままではいけません。(p.135)
感情が入る場面では,私たちが中学で教わるような簡単な表現でも文脈に応じて意味・用法が変化します。こういったコミュニケーションに必須の機能文法は上述の『1日3分脱「日本人英語」レッスン』の根底にあるprincipleです。それが実際に使われている具体例を今回は挙げてみました。(院生 小山本)