常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

マルではないMaroon

Temple Gateさんの次は,名ばかり(nominal)ゼミ長の「persimmon柿生」です。今回は「英語表現ネタの宝庫」と言われるTIMEからの英語表現を紹介します。

4月14日にアイスランドで火山の大規模な噴火があったことはご存知の通りです。これに伴い,欧州では空港での欠航便が相次ぎ,損害額が暫定集計において最大25億ユーロ(約3125億円)にも上るという見通しが発表されました。(4月27日23時3分配信版,時事通信)。この問題で,航空会社や空港のみならずユーロ経済圏全体が大きな打撃を受けました(suffer a blow)のは言うまでもありません。しかし,最大の被害(災)者は足止めを食らった何の罪もない乗客です。彼らは空港で何日間も待たされることを余儀なくされました。その状況をTIMEは次のように表現しています。

Europe tour operator had 100,000 customers marooned overseas.

ここで注目してほしいのがmaroonという動詞です。『ジーニアス英和辞典』(第4版,大修館書店)によると,「〜を(孤島などに)置き去りにする」という意味があると分かります。しかし,maroonには「西インド諸島ギアナの山中に住む黒人;もと逃亡奴隷」という意味もあるのです(『ジーニアス英和辞典』同上)。18世紀末,革命直後のフランス立法府ギアナを植民地にし,流刑地の場としました。そこに送られた囚人はそこで強制労働を余儀なくされていたのです。まさに世界各国の空港(孤島)に置き去りにされ,強制待機(労働?)させられた乗客の姿とかぶります。ちなみにmaroonには名詞で「栗色」という意味もありますが,これはフランス語のマロン(クリやマロニエ)から来ています。

友達が少しずつ卒業後の進路を決めていく中,いわゆる一般企業への就職ではなく,教職一本に絞っている我が身のことを考えると,不安になり,眠られない夜もあります。でも時代の流れにmaroonされないように一歩一歩前に進んでいくしかないですよね。じゃ,Maroon 5でも聞いて頑張ろう!!!(ゼミ生persimmon柿生)
*4/29中にgatchがもう一本upしてくれるはずです。4/30はcamelです。