常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

cook the books

4月22日,鳩山首相の元・公設第1秘書である勝場啓二被告に対し,東京地裁が判決を言い渡しました。政治資金規正法違反(虚偽記入)の罪により,禁固2年・執行猶予3年という判決内容です。THE DAILY YOMIURI(2010年4月23日付)ではこの事実を以下のように報じています。
Keiji Katsuda, 59, was convicted of incorrectly stating about \400 million in total by cooking the books and omitting donations from Hatoyama’s mother and sister in violation of the Political Funds Control Law.
ここで注目してほしいのがcook the booksという表現。cook (up)は,「〈証拠・記録など〉を改ざんする」という意味で(『ジーニアス』大修館,第4版),ここでは虚偽記入という意味として使われています。「改ざんする」という動詞にはこの他に,manipulate(例software designed to store and manipulate data.『ロングマン現代英英辞典』桐原書店,5訂版),doctor(例doctor the books『ジーニアス和英辞典』大修館書店,初版)などがあります。しかし,ここではcookを使っているのは1)cookとbookと韻を踏むことができる(ご名答!編者の遊び心が垣間見えます!by UG),2)cook (up)には上記の意味のほかに,「〜を手早く料理する」という意味があり,ここから被告が手早くちゃちゃっと帳簿を改ざんした様子が感じを出すことができる,3)manipulateとbookは共起しない(bookを目的語として使う例文は見当たりませんでした),ためでしょうか。
こんなに国民と感覚がかけ離れている首相に,国民を第一に考えた政治が出来るのかは甚だ疑問です。政治政策もcookされないことをただ祈るのみですね。(ゼミ生Persimmon柿生)