常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

台湾で自分をみつめて

専修大学文学部英語英米文学科田邉祐司ゼミ所属の小野拓也と申します。私は3年次終了後の2008年から2010年までの2年間,自主休学し,そのうちの1年半,台湾の文藻外語学院で中国語を学びました。

学校の正門前にて(右が筆者)
・台湾にハマったきっかけ〜休学するまで
そもそも台湾という国に興味をもつようになったのは,大学2年次の夏季休暇中に行った6日間の小旅行がきっかけです。当時私はいわゆる「住み込みアシスタント」(residential assistant)として海外からの留学生と共同生活をしていました。また英文科必修の第二外国語が中国語であったこともあり,現地の人々とコミュニケーションを図ることに抵抗はありませんでした。そのため,6日間という非常に短い時間でしたが,独特の食文化,音楽,そして親日的な雰囲気など,台湾を満喫することができ,その魅力の虜になっていきました。帰国後も台湾への想いは色褪せることなく,それどころかますます強くなっていきました。もちろん葛藤や将来への不安もありましたが,最後は「一度は現地で生活をしてみたい」という想いが勝り,思い切って休学することにしました。

・準備
台湾留学というと首都の台北にいくのがメジャーですが,私は旅行の経験から南部の高雄という都市を選びました。ところがいざ行こうと思っても,私は交換留学生のように大学のシステムを利用したわけではなかったので,入学申請からアパート探しまで,何もかも自分でやらなくてはなりません。特に入学申請には大変苦労し,申請に必要なビザを最後に手に入れたときには,準備が整った安堵感と台湾へ行ける嬉しさで思わず笑みがこぼれたのを覚えています。

・台湾での生活
台湾では学校の付近のアパートで一人暮らしをしていました。家具は最初から一通り揃っていたので(しかもすべて新品!)、その点では日本よりも恵まれていたと言えます。ただ,台湾のワンルームアパートにはキッチンが着いていないので食事は朝昼晩と全て外でとらなくてはなりません(これが東南アジアの文化なのです!)。日本ではあまり見ない朝食専門の店(中国語で「ザオ ツァン ディエン」と言います)もありました。日本ではほぼ毎食自炊していたので,慣れない外食に最初は違和感がありましたが,友人と繰り返し出かけるうちに慣れていきました。また,友人との食事は絶好の中国語コミュニケーションの場です。そこでは数多くのことを学ぶことができ,今はこの外食文化に感謝しています。

かき氷!
授業は主に午前中、大学構内にある留学生用の校舎で受けました。授業はすべて選択制で,中には太極拳台湾語,将棋,書道,成語(四字熟語の授業),中国結芸といった中国文化ならではのものもありました。授業形態は1クラス約10名という少人数制だったので,発言がしやすく学びに適した環境だったと思います。後半は中国語にも自信がついてきたので,現地の学生用の授業も何度か聴講させてもらいました。
また,私は留学の目的の1つに現地の大学生の輪に入るということがあったので,そのためにいろいろ手段を考え,実行しました。高校までバレーボール部に所属していた私は,留学先の学校にもバレーボール部があることを知り,「これしかない!」と思い,迷わず体育館の門(正確にはドア)を叩きました。しかし,自分以外のメンバーはみな台湾人なので,最初は苦労の連続でした。特に障害となったのが,授業と同様,ここでも「語彙」でした。チーム内で「生きていく」ために徹夜してバレーボール用語の中国語を調べました。不思議とこのとき調べて使った単語は今でも忘れることがありません。これは中国語に限らず,「ことば」の学習すべてに言えることだと思います。そのような努力の甲斐もあってチームにも徐々にとけ込むことができ,大会,合宿などにも参加させてもらいました。普通の留学では滅多にできない経験ができたとこれは胸をはって言えます。


バレー部のみんなと

・留学から学んだこと
留学で得たものとしてはありがちかもしれませんが,自分の意見をはっきりと主張する習慣がつきました。中国語をしゃべるとき,発音が下手でも失敗を恐れずはっきり大きな声でしゃべると案外通じることがあります。そのことを今後は英語学習にも応用していきたいと思います。

Speech Contestに参加!
また,改めて自分は「日本人」なのだということも実感しました。どんなに必死に現地の環境に馴染もうとしても,どんなに中国語が上手になっても,どんなに台湾が好きでも,自分が日本人であることは一生変わりません。つまり,日本人らしさを無くしてしまうようなことはあってはいけないのです。異なる文化を認めつつ,自己の文化に誇りを持つ。当たり前かもしれませんが,これが異文化理解の基本であることを留学が気づかせてくれました。
私が1年半住んでみて感じた台湾という国は,アジアだけでなく欧米の文化も流入してきていて,面積こそ小さいですが国際色豊かな魅力あふれる国です。また大部分の人が親日的で,文化や言葉は違えども日本人には住みやすい国だと思います。是非みなさんも機会があれば一度訪れてみてください。

ともだちと