常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

one’s move

 14歳2か月の藤井総太四段がデビューから11連勝という新記録を達成しました。

Shogi prodigy sets record with 11 straight wins since debut

Sota Fujii, the youngest professional shogi player in Japan, extended his winning streak since his debut to a record 11 victories at a match on Tuesday.
Fujii, who is 14 and ranked fourth dan, set the record when he defeated 40-year-old seventh-dan Hiroshi Kobayashi in 104 moves at a qualifier for the Osho Sen tournament at the Kansai shogi hall in the city of Osaka.

http://www.japantimes.co.jp/news/2017/04/05/national/shogi-prodigy-sets-record-11-straight-wins-since-debut/#.WOUNyvVOJdg

 “move”を取りあげます。

 『ジーニアス英和辞典』(第五版、大修館書店)では「(チェスなどで)駒を動かすこと、手番、駒の動かし方」とありました。ここでは「小林七段が104手目で投了となった」ことがわかります。

 同上英和辞典では「君の番だ」を“It’s your move.”という例文が載っていました。
ボードゲームやカードゲームをする際、“It’s your turn.”とも言いますがOxford Living Dictionariesで“turn”は“An act of moving something in a circular direction around an axis or point”と定義されているように、「円」がポイントとなっているようなので、チェスなど対面式のものは“move”を用いるのではないかと思いました。
そこで「ハリー・ポッターと賢者の石」(静山社)でチェスのシーンがあったことを思い出したので、このような表現がないか探してみました。

物語終盤、魔法のかかった巨大なチェス盤でハリー・ロン・ハーマイオニーが駒になってゲームをする場面からです。ロンは相手のクイーンに自身を取らせて、ハリー達に先に進むように説得しています。(Harry Potter and the philosopher’s Stone (BLOOMSBURY) p.304より)

‘That’s chess!’ snapped Ron. ‘You’ve got to make some sacrifices! I’ll make my move and she’ll take me – that leaves you free to checkmate the king, Harry!’

 静山社の日本語訳では「僕が一齣前進する」と訳されおり、やはり“move”が使われていました。
英和辞書にも記載されていましたが、「行動する、手段をとる」ことを“make one’s move”と表すようです。(flyingbird)