only fit to wear a steeple crowned hat
『ブルーワー英語故事成語大辞典』(大修館書店)を眺めていたところ、“Hat”の項目に“You are only fit to wear a steeple crowned hat”という表現を見つけました。意味は「異端者として火あぶりにされるしかない」ということだそうで、「特異なことを言っている(またはしている)」と相手に伝えるときに用いられるようです。同上辞書によると“a steeple crowned hat”というのは「三角帽子」のことで、異端審問の犠牲者はこれをかぶったことが由来するそうです。
異端審問と三角帽子の関係をインターネットで調べてみると、スペインの画家フランシスコ・デ・ゴヤの作品の中に、白い衣装と白くて細長い三角帽子をかぶった人々が審問を受ける様子を描いた作品が数枚あり、そのような格好をして審問を受ける習慣があったことが伺えました。
「異端審問」は中世以降のカトリック教会において正統信仰に反する教えを持つという疑いを受けた者を裁判するために設けられたシステムのことで(wikipediaより)、とりわけ「スペイン審問」は15世紀ごろから始まり、ゴヤ(1746〜1828)が亡くなったあとの1834年に完全に廃止されたそうです。
「三角帽子」といえば魔女を思い浮かべるので「魔女狩り」と関係があるのかと思いましたが、時代や地域、魔女の定義などが異なるため、審問とはまた別ものであるようです。なぜ、三角帽子を被るのかはっきりとわかりませんでしたが(調べが足りなかったのかもしれません)、おそらく絵では審問を受ける様子をたくさんの人々が見物していたことから、群衆の中でも目立つようにするために白い特徴的な格好をしていたのではないでしょうか。人が痛めつけられている様子などを見世物としていた習慣は“Roman holiday”「人を苦しめて得る娯楽」に似たようなものを感じました。(flyingbird)