常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

firestorm

ニューヨークシティ(先生がNY cityとNY stateをしっかりと使い分けなさいと言われていました)が好きなLbow-Shoulderです。
今回はAsahi Weekly(8月22日付け)から英語表現を拾っていきます。まずは採り上げる記事の表題をご覧ください。
NYC mayor ignites firestorm with support for a mosque near America’s sacred 9-11 site
この記事は以前自分が採り上げた,ニューヨーク市内にある「グラウンド・ゼロ」の近くにイスラム団体がモスクを建設するという記事関連の話です。
cf. http://d.hatena.ne.jp/A30/20100804/1280927434
*君だけではないぞ!(UG)
http://d.hatena.ne.jp/A30/20100817/1282050571
注目するのはignite firestormという英語表現です。まずigniteを辞書で調べてみると,「火をつける,点火する」とあります。次にfirestormはそのままですが,「大火災」とあります(『ジーニアス英和辞典』第4版,大修館書店)。『オーレックス英和辞典』(旺文社)には,「(核爆発によって引き起こされる)大火災」と明記されています。しかしニューヨーク市長は「大火災を招いた」わけではありません。もう一度辞書で調べ直すと,igniteには「<人・心など>を奮起させる」とあります。そしてfirestormには「(抗議・非難の)大あらし」とあります(『ジーニアス英和辞典』同上)。つまり「グラウンド・ゼロ」の近くにモスクを建設することを支持した市長に対し猛抗議が起こっているとこの表題では述べています。したがって,ignite firestormはigniteの「火をつける」という意味を汲んで,「ニューヨーク市長はモスク建設を支持し,火に油を注いだ」と訳せます。
蛇足ですが,「火に油を注いだ」は英語でなんと言うのか調べました。『スーパー・アンカー和英辞典』(第2版,学習研究社)によると,flare up worseやadded fuel to the flamesという表現が紹介されています。
ニューヨーク市長は「ニューヨーク独特の多様性と政教分離を守りたい」と述べています。今後どのように展開していくのか要注目です。次はyoriさんです。(ゼミ生 Lbow-Shoulder)