常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

devil’s advocate 復習

 今回取り上げるのは昨日の裏ゼミで先生に教えていただいた“devil’s advocate”です。これは「故意に反対の立場をとる人」(『ジーニアス英和辞典』第五版、大修館書店より)を指し、行為を表す際は“play the devil’s advocate”となります。
 少し意地悪な行為から“devil”が使われているのかと思いましたが、『ブルーワー英語故事成語大辞典』(大修館)と『英辞郎 on the web』で語源を調べると、カトリックの専門用語で列聖(聖人)候補の審査をする「列聖調査審問検事」から派生したことが分かりました。検事は反対意見を候補者に投げかけるため、そこから「あまのじゃく」や「けちもんをつける人」と比喩的に使われるようになったそうです。反対語の「擁護論者」は“Advocatus Dei (God’s Advocate)”と言います。
 そもそも、“devil”とは一体何なのかLDOCEで確認すると“the most powerful evil spirit in some religions, especially in Christianity”とあり、よく一緒に出てくる“Satan” /séɪtn/は“the Devil, considered to be the main evil power and God’s opponent”とそれぞれ定義されています。はっきりとした区別はつけられないようですが、もとの原義を同上英和辞典で見ると“devil”は「悪口を言う人→悪いやつ」、“Satan”は「敵」と記載されていました。
 辞書には“devil”が付く表現が他にもたくさん載っているので、宗教的知識なども一緒にチェックしていきたいです。(flying bird)