常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

snap election 復習

 安倍晋三総理大臣は、衆議院解散総選挙についてニューヨークの国連総会から帰国後に判断することを明らかにしました。

Japan's Prime Minister Shinzo Abe has indicated that he will decide when to dissolve the Lower House for snap elections after he returns from New York.

Abe spoke to reporters on Monday before he left for New York to attend the UN General Assembly.

He declined to make specific comments on a possible dissolution of the Lower House, but said he will decide on the matter after he returns from New York on Friday.
https://www3.nhk.or.jp/nhkworld/en/news/20170918_16/

 今回取り上げるフレーズは “snap election” です。すでに取り上げられていますが,『ジーニアス英和辞典第5版』(大修館) によると “snap” にはお馴染みの「パチンと鳴らす、パチパチと叩く」という動詞の意味のほかに、「急な、降って湧いた」という形容詞的な用法があるとわかりました。次に、英英辞典を見てみると、“done suddenly without allowing time for careful thought or preparation” と説明があり、準備がなされていなかったり、許しがなかったりする状況下で断行する意味を指しているといえます。
 したがって今回の文脈に沿って考えると “snap election” は、議員の任期満了に伴う通常の総選挙 (主に参議院選挙) と異なり、予め想定の出来ない「降って湧いた選挙」を意訳して「(衆議院の)解散総選挙」を指すとわかります。
 安倍首相が今回の「解散総選挙」に踏み切ろうとしている要因として考えられることに、自民党議員の不祥事や法案の強行採決による不満が高まっている一方で、民進党を中心とする野党勢力自民党の受け皿に今のところなれていないことや都議選で注目された「小池新党」の明確な方向性やビジョンが未だ固まっていないことがあげられると思います。他勢力が自身に及ばないうちに、今回の選挙で第二次安倍内閣が発足以来掲げていた「憲法改正」の是非を国民に問うことがあるのでしょうか。(Hapidra)

http://dictionary.cambridge.org/dictionary/english/snap

http://d.hatena.ne.jp/A30/touch/20101009/1286630184