常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

tongue-tied

今日は、現在私が読み進めている小説、John Green著書の"The Fault in Our Stars"という小説から取り上げたいと思います。この作品はニューヨークタイムズでベストセラーとなり、映画化もされています。

物語は、甲状腺ガンを患う女の子ヘーゼルと、骨肉腫で片足を失くした男の子オーガスタスが、1冊の本をきっかけに仲良くなり、恋に落ち、それぞれの病気のことや人生について受け止め、考える、という話です。

取り上げる場面はチャプター13の始めの段落からで、ヘーゼルとオーガスタスは、2人のお気に入りの本、Peter Van Houten著書の"An Imperial Affliction"の結末を知るため、ヘーゼルの母親と3人で作者が住むオランダのアムステルダムを訪れます。ヘーゼルとオーガスタスは2人で著者の自宅を訪れますが、その本の著者がアルコール中毒で態度の悪い人だと分かり、がっかりしたまま、アムステルダム滞在の最終日を迎えた早朝のシーンです。作者の自宅を訪れなかったヘーゼルの母親に、カフェで、その時の悲しい出来事を笑い話のように説明します。そのカフェでのオーガスタスの振る舞いについて描写した文です。

Augustus, slumped in the cafe chair, pretended to be the tongue-tied, word-slurring Van Houten who could not so much as push himself out of his chair;~

ここで気になった表現は"tongue-tied"です。

そのまま訳すと、「舌が縛りつけられた」となり、おかしな意味になってしまいます。

LDOCEで調べてみると、"unable to talk in a relaxed way because you feel nervous or embarrassed"とありました。

ジーニアス英和辞典』第4版(大修館)で確認してみると、「(恥ずかしくて)口ごもる、舌足らずの、舌がもつれる」と掲載されていました。

まさに、縛りつけられたように、舌がうまく回らない様子が分かります。(Akim)

show-stealingly――『負けるが勝ち』のレビューより - 田邉祐司ゼミ 常時英心:言葉の森から