常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

Anthropocene

地層の堆積物を分析すると、その時代にどのようなことが起こったのかがある程度わかるということは周知のことですが、大気汚染、核実験などによる放射線などの、私たち人類が地球に与えた影響の痕跡が、岩などの中に堆積物として遠い未来に確認されるとされています。地質学者をはじめとする研究者らからなる国際的な専門家集団は、現代が地質学的に新たな時代に入っているとしています。「いったいいつその新時代に入ったのか」ということで議論がなされていますが、科学技術の発展により、劇的に変化が起こり始めた1950年代頃が新時代の始まりとされるのではないかとの意見があります。

'Case is made' for Anthropocene Epoch

There is little doubt now that we have entered a new geological age, believes an international scientific panel. The team, which has been tasked with defining the so-called Anthropocene, says humanity's impacts on Earth will be visible in sediments and rocks millions of years into the future.

(中略)

http://www.bbc.co.uk/news/science-environment-35259194

本日は記事より"Anthropocene"を拾います。『Wisdom英和辞典 第三版』では定義が見つかりませんでした。オンラインで調べてみると、アルクの 「英辞郎 on the web」 に、「(地学) 人新生」とあります。同辞書に「人間が地球の生態系や気候に大きな影響を及ぼすようになった、18世紀後半の産業革命以降の時期を指す言葉」と説明がなされており、どのような時代区分かわかります。

また、Oxford Dictionaries On-lineには"Relating to or denoting the current geological age, viewed as the period during which human activity has been the dominant influence on climate and the environment."と定義されていました。

詳しく調べてみると、この語は1995年にノーベル化学賞を受賞した大気化学者のPaul Crutzenによって広められ、「人類」を表す"anthropo-"と「新しい」を表す"-cene"からなる造語であるとわかりました。

現代の私たちが、例えば恐竜時代の地質をみて時代を知るように、遠い未来に、私たちが生きる「現代」はどういう時代であったのかが地質学的に分析される日が来るのでしょうか。(Dew)