gild the lily
「ダウントン・アビー」シーズン1 第1話より表現を拾います。「クロウボロー公爵(メアリーの求婚者)がいらっしゃるわよ」と、母親のコーラが、部屋にいた娘達3人を呼びに来たシーンの後からです。
2人が部屋から出た後に、メアリーにコーラがかけた言葉は、Let’s not gilt the lily.でした。さて、私が注目したのは、gilt the lilyという表現です。
『オーレックス英和辞典』第2版(旺文社)で調べますと、「(そのままで十分美しいものに)余計な飾りを施す、無用の手を加える」(--“to spoil something by trying to improve it when it is already good enough”LDOCE5)という意味です。「余計なことをして、パーを招く」というニュアンスが出る表現です。なぜこの表現が起こったのか、調べてみたところ、シェイクスピア時代には、この表現はありませんが、paint the lilyという表現はあったそうです。これは、『ジョン王』の「美しい花の代表格であるユリに金を塗る」という比喩から来ているそうです。gild the lilyの方は、アメリカの英字新聞でgild the lilyが19世紀の後半に用いられ、20世紀になって普通に用いられるようになったとのことですが、昔ながらのpaint the lilyの方は、もうほとんど使われなくなっています。(Kawada)