常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

日本英文学会 感想

昨日は慶応大学で行われた日本英文学会に参加させていただきました。今回はUG先生含め3人の先生方の英語教育の音読について着目した発表を拝聴し、大変勉強になりました。このような機会を与えてくださったUG先生、発表された先生方、本当にありがとうございました。

「音読の功罪と音読教材としての文学テクスト」というテーマのもと行われたシンポでは、音読とは何かということを理解することができました。音読とは意味を理解し、確かな聴覚像を形成して声に出して読むということが大切であるにも関わらず、学校現場等を中心に行われている音読活動ではただ声に出して読めばいいもののように捉えられており、教師ですら音読の意味を理解していないこともあるようです。また、音読に用いる教材等は確実な文法で書かれている文学作品等から音読を始めることによって、学習者が学ぶ文法事項を確かなものにするということが分かりました。有名なスピーチや映画、ドラマ等の会話を音読教材にする前に、確実な文法を身に付けることが大切です。また、このような文学教材を用いて音読をすることは教養を身に付けることでもあり、英語をより深めることに繋がることが分かりました。

さらに、今回の発表を拝聴したことは自分の音読への取り組みを振り返る契機となりました。ゼミでは「アメリカ口語教本」を読みすすめていますが、有意義な音読活動を行えていなかったように感じます。私は今までは好きなアーティストの曲を覚えて自分の頭の中で歌うことができるようになる、というように、ただただひたすらに模範CDを聴き、頭の中で再生できるようになるまで聴きこむことから音読活動を行っていました。意味を取るのはいつもある程度脳内再生できるようになったあとでした。今回の発表を経て、意味をとることの大切さを実感し、すぐに実践していこうと思った次第です。

また、英語学習者は4技能が統合されたより高い英語力を得るためにはその過程のどこか必ず徹底的に音読をしなければならないということをお聴きしました。しかし現在は学校現場の教員ですらその経験をすることなく教職に就いているようです。現場に出て、生徒に音読を指導する立場にある教員には勿論、より高次元の英語力を手に入れんとする英語学習者にとっても音読は通らなければならない道であると感じました。今後は、正しい方法で正しい音読をすすめていきたいと思います。(Inaho)