常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

the diamond in the rough

ディズニーアニメ映画『Aladdin』より表現をひろいます。気になったのは“the diamond in the rough”です。

この表現が使われたシーンは、悪事をはかる男Jafarが相棒のオウムLagoをつれて、盗人Gazeemに魔法の洞窟にランプを取りに行かせるシーンで、 魔法の洞窟の台詞に使われていました。

(魔法の洞窟が砂漠の中から姿を現す)
Jafar: At last, after all my years of searching. The Cave of Wonders.
Lago: Cave of Wonders.
Gazeem: By Allah.
Jafar: Now, remember. Bring me the lamp. The rest of the treasure is yours, but the lamp is mine.
Lago: The lamp. The lamp.
(Gazeemが魔法の洞窟に向かっておずおずと歩き出す)
Lago: Jeez, where’d you dig this bozo up?
Jafar: Sh!
(Gazeemが魔法の洞窟に足を踏み入れた瞬間、洞窟が喋りだす)
Cave: Who disturbs my slumber?
Gazeem: It is I, Gazeem, a humble thief.
Cave: Know this. Only one may enter here, one whose worth lies far within. The diamond in the rough.
(GazeemがJafarのほうを振り向く)
Jafar: What are you waiting for? Go on.
(魔法の洞窟は侵入してきたGazeemに怒って、彼を飲み込んでしまう)
Cave: Seek thee out the diamond in the rough.

ここのシーンのScriptを読んでみれば、ここでは“the diamond in the rough”=“one whose worth lies far within”ということがおわかりになると思います。貧しくも清い心を持った、主人公のAladdinのことを指しています。

“in the rough”が「未加工の、未完成の」という意味なので、“the diamond in the rough”は直訳すると「輝いていないダイヤモンド、ダイヤの原石」なのですが、『ジーニアス英和辞典第4版』(大修館書店)に「荒削りだがすぐれた素質の人、洗練されてはいないが根は良い人」といった意味も載っていました。ちなみにイギリス英語では“rough diamond”と言うようです。
日本語でも「大いなる可能性のある人」や「磨けば光る人」を、「ダイヤの原石」と言います。英語でも同じように使われていることにおもしろさを感じました。

ただ、『Merriam-Webster Learner’s Dictionary』には、上の意味だけでなく “something that is in poor condition but that is likely to become valuable with appropriate care or attention”とあって、“The house is a diamond in the rough, and with some hard work it will be really beautiful.”という例文まで載っていました。
日本語では主に「人」に向かって使われていますが、英語では「人」だけでなく「もの」にも使われているようです。

このように日本語でも同じように使われている英語の比喩表現はまだまだたくさんあると思いますので、どんどん見つけていきたいです。(One)