常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

学会の感想

11月16日に拓殖大学で行われた日本英語教育史学会に参加させていただきました。今回も教職を目指す者にとってとても為になる話を拝聴することができ、とても勉強になりました。このような機会を与えてくださったUG先生、本当にありがとうございました。

今回の学会ではとくに東京師範学校文科兼修体操専修科のお話が興味深く、印象に残りました。明治期の体操教員の評価は体操だけは秀でているが教養がないと生徒に見くびられていました。これを改善すべく、体操科を専門とし、且つ他の文系科目を本科の学生とほぼ同様に学習する修身体操科や文科兼修体操科が設けられました。この学科から輩出された方々は英語教育や英語の各分野においては中核となった方々もいらっしゃるとのことです。この時の英語への取り組みが生半可なものではないということは、当時大学4年生であった文科兼修体操科の飯島仁作さんの岡倉由三郎先生に提出したレポートから読み取れました。今日の英語教育でも指摘されている教師の発音、そして読解力、直読直解など、明治時代の内容とは思えないような英語教育の核心に触れた内容が書かれていました。体操科を専門としながらも英語科の学生顔負けのレポートであり、とても感銘を受けました。私は英語を専門とする学科に入って3年経ちますが、ここまで踏み込んだ内容の文章を到底書ける気がしません。ただ英語を勉強するだけでなく、歴史から学びとることはとても多いのだと実感しました。

また、戦前の教科書の選定についての発表では、学校で使用している教科書は様々な要因が複雑に絡み合って選定されているということが分かりました。自分がなぜこの教科書を使っているのかと考えたことはあまりありませんでしたが、教科書選定も英語教育に影響を及ぼすものであり、難しい問題であると感じました。

今回の学会に参加せずには一生得られなかっただろう情報を得ることができました。今回得た知識を直接自分の勉強に活かして英語力を高めるだけでなく、英語教育についても今まで以上に学習しようと強く感じました。(Inaho)