常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

教職感想 白金台支所 #2

「生徒と向き合うこと」

私は都立高校に行き、1年生のコミュニケーション英語Iの授業を担当させていただきました。

3週間の中で、英語の指導法に関してはもちろん、生徒との関わり、教師・社会人として重要なことを学びました。3週間を通して特に感じたことは、「生徒理解は教員の一番重要な仕事である」ということです。

私は自分のホームルームの生徒達の名前を覚え、できるだけクラスにいて生徒と触れ合うことを目標としていました。生徒の中には「先生、先生」と自分からよく話し掛けに来てくれる生徒もいましたが、自分からは話し掛けようとしない生徒が大半でした。しかし、おとなしい生徒でもこちらから話し掛けるととてもよく話をしてくれたので、こちらから生徒にはたらきかけていくことは大切であると感じました。

また、教育実習中に合唱コンクールがあり、練習を見る機会が多くありました。そういった行事のおかげで、生徒の意外な一面が発見でき、クラスの雰囲気もよくわかりました。「何もしなくていい。ただ生徒を毎日よく観察して変化があったりしないかを見ておくことが重要。」と指導教諭の先生に言われましたが、後で授業をするようになってからその意味がよく分かりました。生徒のことをよく知っていると、授業での生徒とのコミュニケーションがとてもスムーズで、独りよがりにならず、生徒と一緒に授業をすすめている感覚が持てました。「授業は生き物だから」と先生がおっしゃったように、ただ自分で完璧に授業を準備すれば良いのではなく、生徒との対話を大切にしなければならないな、と感じました。

実際に授業をしてみて、私が「ここは生徒が間違えるポイントだな」と思ったところと、実際に生徒がつまずくところが違っていました。生徒に “right”を 「ちょうど、きっかり」と訳させたかったのですが、生徒からは「右」や「正しい」という答えしかでてきませんでした。しかしここの訳の間違いは私の想定外で、「ここでは『ちょうど』の意味だよ」と流してしまいました。

その後先生から、「あの生徒の間違いを生かせなかったのは勿体ないよ」と言われました。生徒が間違えた時に、それを生かす引き出しをどれ程持っているかが授業を充実させるカギであることを学びました。それからは、いつもできるだけたくさん例文を用意しておき、生徒の理解を助けられるよう準備しておきました。例文を示すと、身近なものほど「ああ、なるほど」と生徒がうなずいてくれるのが分かり、成果があって良かったと感じました。

「コミュニケーション英語」という科目において、「全て英語で授業するべき」という先生もいれば、「受験を考えるとしっかり文法などを説明すべき」と考える先生もいらっしゃり、それぞれ全く違うスタイルをとっていました。しかし一番大切なことは「生徒に英語を身に付けさせる」ことであり、どのような方法をとっても、最終的に生徒が英語を使えるようになれば良いので、All Englishでもそうでないにしても、授業で生徒に4技能をバランスよく使わせること、生徒が英語を使うことを手助けすることが教師に求められることであることを感じました。

教育現場は本当に忙しく、実習では本来の仕事の10分の1も見られていないと思います。その中でも、先生方は先を見据えて日々の業務をこなし、生徒からの質問に答え、生徒と関わる時間を第一に考えていらっしゃいました。このように生徒を大切にすることが出来る教師になりたいと思いました。

お忙しい中時間を作って日々私に向き合ってくださった指導教諭の先生に、貴重な経験をさせていただいたことを感謝したいです。実習で感じたこと、失敗したこと、悩んだことを将来に繋げていきたいと思います。(K.K)