常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

Unseen parts

おはようございます。今日は久しぶりの「日曜日」です。

昨日、皇居の「春季宮殿特別参観」が初めて行われました。約17万人の応募の中から抽選で選ばれたラッキーな46名が「松の間」や「豊明殿」などを見学しました。

その模様を伝えたMainichi(共同通信)はunseen partsという見出しを打っていました。

Unseen parts of Imperial Palace opened to public

TOKYO (Kyodo) -- The Imperial Household Agency on Saturday opened parts of the Imperial Palace in central Tokyo previously inaccessible to the public to commemorate the 80th birthday of Emperor Akihito last December.

Those who received tickets in a draw -- one for every 573 who participated -- were able to see the Homeiden state banquet hall where the emperor hosts a banquet dinner for state guests.

The special tour is being held Saturday and Sunday, with three groups of about 50 people participating each day. The agency plans to conduct similar special tours in early October.

http://mainichi.jp/english/english/newsselect/news/20140524p2g00m0dm067000c.html

unseenはseeの過去分詞にunが付いた何でもないような形容詞で、「人目につかない」さらには「前もって調べてない,初見の」という意味を持つ単語です。

ここのunseenは「一般公開初」という程度の意味合いでしょうが、通訳をやっていた私には特別の意味合いのある表現なのです。前もってスピーチ原稿をもらい、せっせと前準備をやって本番に臨んでいたのに、直前になってその原稿が差し替えられるということが何度もありました。まさにunseen script!

もっとも全面的な差し替えというのはまれで、大抵は一部書き換えでしたが、やはりunseenのものを訳出するというのは独特の緊張がともないます。そんなことを思い出しました。(UG)

PS そういえばunseen partsという表現はたしかV. WoolfのMrs. Dalloway にも出てきたような気がします。

ラッキーな参加者が、事件現場で刑事たちがするように、足跡が残らないビニールの靴カバー(なんて言うのでしょうか?)を履かさせられているのにはちょっとびっくり。