常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

ゼミで学んだこと #20

 このゼミに入る前と後とで、私は確実に変化を感じています。その変化とは、考え方の変化です。はじめて先生のゼミに参加した時、先生がどんな活動をしていらっしゃるのかをお聞きし、とても感銘を受けました。お恥ずかしいですが、家に帰って親にまで先生のことを話したほどです。時間が限られていることが分かっていながら、何もしてこなかったのがこのゼミに入る前の私でした。勉強に限らず、何をするときでも自分にとって負荷のかからない方を選択しがちです。それと同時に心のどこかで、楽をした理由を正当化していたのだと今になって気づきます。「わたしは学生時代、3日間寝ないで勉強し続けたことがある。そのくらいの気持ちで勉強に必死になったことがあるのか。」と先生がいつかの授業で私たちに問いかけました。はっとしました。先生も努力してきたのか、と。今思えば当然のことなのですが、その時のわたしはできる人(適切な言葉ではないかもしれないですが一番しっくりくるのでこう言わせて下さい)に対して羨むばかりで、きっと環境が良かったのだろう、などと勝手に自分ができない人である理由を完結させ、また、正当化していたのです。
 同じようなことですが、このゼミに入りたての時感じていた間違いがもう一つあります。正直な話、私は帰国子女で、かつ教員志望の人に対して、とてもコンプレックスがありました。高校生のときからアルバイトをし続けて、交通費や、教科書、問題集、大学に入るための入学金さえも自分で払ってきた私にとって、行きたいと思ったら簡単に海外へ行って学べる人たちが羨ましくて仕方なかったのです。私の高校には、交換留学プランがありました。かねてから留学を希望していた私は大チャンスだ!と思いましたが、それに必要な金額は高校生が学校に通いながらアルバイトで稼げるほどのものではなく、諦めざるを得ませんでした。留学プランに参加する生徒で、自分のお金で行く人などもちろん一人もおらず、環境を羨むばかりでした。大学に入ってからは、夕方のアルバイトと夜間のアルバイトを掛け持ちしてやっと留学の夢を果たしましたが、長期の留学はできず短期の留学で諦めをつけました。帰国子女の方々には経験があります。発音も私より良いし、スピーキングだって簡単にできます。環境の違いだけでここまで違うのかと、そしていいなあ、ずるい!というのが正直な感想です。
 しかし先生のゼミに入って、この自分の考え方を改めさせられました。人を羨むのではなく、その人たちに敬意を持つようになり、また自分の経験についてもよく考えるようになりました。すると、短期の留学しかできなかった私だからこそ、教えられることがあるのではないだろうか、という考えに行きつきました。私が教師になったとき、きっとそれを受けるほとんどの生徒が留学経験はありません。そういった意味では、日本で地道に学び続けた人の方が、生徒がどうしてつまずくのか、そして何がどう分からないのかなど、理解してあげられるのではないでしょうか。帰国子女の方にはその人たちの、日本で学んだ人たちにはその人たちの、それぞれの経験と強みがあるというふうに考えるようになってからは、今まで抱いてきた意味のないコンプレックスを捨て去ることができました。
 毎週水曜日、学校へきて先生のゼミに参加するたび、先生のお言葉や友人との会話によってまた頑張ろうと思うことができました。今までは自分と向き合うことを避けてきたのかもしれません。今の自分には何が必要なのか、本当はどんな教師になりたいのか、さまざまなことを普段から考えるようになっていきました。そういった意味で先生の授業はゼミの中だけでなく、そこから出た後の私を変えてくれました。
 そして何よりも感謝したいのはここでの出会いです。一年次、二年次と教職の授業をとってきた私ですが、誰が本当に教師を志望しているのかわからず、どの授業もほとんど一人で受けて来ました。教師が第一志望だという人を探してはいましたが、一、二年次の大学生活の中で一人も出会いませんでした。(出会わなかったというより、気づくことができなかったのだと思います)それがこのゼミに入って一度に14人の同志に出会ったのです。同じ夢をもった友人から与えられる刺激ほど、自分にやる気を与えるものはないと思いました。先生のご厚意で4ゼミにも参加させて頂きましたが、ひとつ上の先輩たちが教育実習の経験をお話されていたり、合格の発表まで聞かせて頂き、とても刺激的で有意義な時間でした。そしてなにより、先生の様な方に出会えたことをとても感謝しています。毎週やる気にさせてくださった先生がいなくなることを考えると不安なほどです。先生は時に厳しく、時に優しく、そして生徒の動きをよくみてくださっていました。ある時、この教室さむいな〜と思っていたら、「さむいよな。」と先生が話しかけてくださり、とても驚いたのを覚えています。どんな時でも、生徒をよく見ながら進める先生の授業に対する姿勢は、自分が教師になったらぜひ真似させていただきたい憧れでもあります。
 一年間このゼミで学んだことを忘れないようにして、これからはもっと精進していきたいです。たくさんの学びを本当にありがとうございました。来年先生の授業が白金校舎で開講されることを祈っています。そしてもしそうなったら、来年もよろしくお願いします。(Tree Upholder)