常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

ゼミで学んだこと #18

一年を通しこのゼミでは英語教育あらゆる面について学び、考えてきた。四年のゼミが始まる以前は、特に授業を行う上での基本的な部分の知識と経験に乏しかったため、前期は教育実習のための知識の吸収と実践に励み、後期はより深く英語教育を考えることに努めた。その中で、私が具体的にどのようなことを学び、考えたかについて振り返ることで、この一年でどう成長したのか、またその現状を踏まえ、自分に何が必要なのか改めて考えたい。

 まず、前期の授業では授業の勘どころとして1)まなざし、2)表情、3)姿勢、4)声の表情(息の調節)、5)リズムという授業マネージメントの5つのポイントを教えていただいた。特に発声は繰り返し練習したので、強く記憶に残っている。今思い返すと、この状況からスタートしたのだなと懐かしく、また恥ずかしくも思う。声の表情という部分では田邉先生の強弱の付け方が印象に残っており、生徒の注意をひくためにあえて声を小さくするという方法もあるとうことを知った。私はその後のマイクロ・ティーチングで試みたものの、大切な部分や話が切り替わるところで声を張れるくらいだった。先生のような強弱の付け方を習得するにはまだまだ経験が必要だ。また1)の部分では、扇風機のように生徒に目を配るということを教わり、イメージ化することでより明確になった。授業内でも先生の視野の広さに学んだ。先生がどこを向いていても全員を把握しているようで、その眼の付け方が癖になるくらい私も訓練していかなければと思う。その他、机間巡視や板書の使い方など、英語というよりは授業マネージメントを短期間ではあるものの最低限押さえることができたのではないかと思う。

 その後のマイクロ・テーチィングでは毎週2、3人ずつ行い、先生はもちろんゼミのメンバーでアドバイスし合って細かい部分まで修正することができた。他の人の模擬授業やそれに対するアドバイスを自分に照らし合わせることで非常に参考になった上、自分もその人の良い点と改善点を見つけ発言することで、観察力また積極的に伝える力が身につけた。それに付随して、IRF (Initiation Response Follow-up)ということを学び、教えるということがより具体的になった。特に私はFollow upという面が欠けていたのでそこを意識して模擬授業に取り組んだ。教育実習と比較して考えると、先生のおっしゃっていた授業配分の中でのClimax、また授業を一つのまとまりにして考えた時の「ヤマ」をつくることが課題となった。自分の中では上手くいった時もあったが、平坦な授業になってしまうこともあり最後まで授業のメリハリをつけることが確実にはできていなかった。その他、ゼミの授業内ではマイクロ・ティーチングと並行して先生から英単語の発音や指示出しをするときの英語の正しい言い回しなどを学び、それまでの英語に向き合う意識の甘さを改めて実感した。実際、実習では生徒の前で間違った発音をしてしまい、実習校の先生方に指摘され恥ずかしく思うこともあった。英語を直すには膨大な時間を要するため、今後も改善に向け常に意識していくようにしたい。

 なんとか教育実習を終えた後期の授業では、主に英語そのものや英語学習についての幅広い知識を自分自身も実践しながら学んだ。具体的には語彙学習としてQuick Response、また短期記憶方法としてRetention を行った。またその短期記憶をいかにしてWorking Memory(WM)に落とし込むかという点で、WMに必要な条件から考えた。このように学習するという視点から今まで意識せずにやってきたことを細かくみると、英語上達の構造が見え、効率的に教えるにはどうすべきかということを常に考えさせられた。英語学習以外に言語としての英語という意味で、日本語と比較して英語の特徴を捉えたことが非常に興味深かった。英語圏の文化的背景から英語はLow Context CultureでExplicit Culture であるということや結論先行であり理由を強く求める文化であるということを学んだ。そこから英語の構造と情報処理の方法を考えた。先生もおっしゃっていたように、ここが英語醍醐味だと私も強く感じ、日本とは真逆といってもいいこのような英語のもとにある考え方を英語学習者は学ぶべきであり、授業を通して伝えていくべきだと思った。
 以上のように前期は授業を行う上で基礎的な力を、後期は英語学習についての知識を得ることに費やした。一年間のゼミを振りかえって私の中で最も変化したのは、英語教育に対する意識だと思う。このゼミで得た知識全てを実践で活かすことは難しく、基本的な部分でも多くの課題が残った。しかし、様々な角度から英語教育を見つめ、まだまだ深く掘り下げてみたいと思うようになった。特にUG先生の教養の深さ、英語の知識量に触れ、日々圧倒されることでもっと勉強しなくてはいけないと思った。また、ゼミのメンバーや三年ゼミの自主的な努力を見て、モチベーションに繋がった。気がついてみると、大学四年間で一番学びたいと思えた一年だった。ゼミ終えた今の状況では、ゼミで学んだことを使えるものにできていない部分があるので、今後はそこを一つでも改善することに努め、そこからさらに幅広く英語教育について考えを深めていきたい。そのために確実な英語力を身につけたい。(Inside Paddy Filed)