常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

stakeholder

 こんにちは。今日は”stakeholder”を見ていきます。『Wisdom英和辞典(第三版)』(三省堂)を見てみると「掛け金の預かり人,係争物受寄者,出資者,ステークホルダーエコノミー(従業員・取引先・消費者など株主以外の利害関係人の利益に配慮した資本主義)」という訳ができてきます。
 “stakeholder”を取り上げる理由は会社が誰のための存在するのかを考えるためです。法律上では会社は”shareholder”である「株主」が所有します。この場合は会社の存在理由は株主価値の最大化であり,株主の要求を最大化する経営が求められます。一方”stakeholder”は会社は株主を含め会社に関わる利害関係者全体のものであると考えます。つまり会社の商品を購入する顧客,会社で働く従業員,サプライヤー等の利害関係者全体の価値を高めていくことが会社経営に要求されます。
 「会社は誰のものか」ということを日独仏英米の経営者に対して質問表により調査を行った研究があります。その研究によると日本の経営者の大多数はすべての利害関係者のために会社が存在すると回答したのに対して,米国の経営者の大多数は株主のために会社が存在すると回答したという結果でした。この結果から企業の概念を前者については「多元的企業概念」,後者については「一元的利益概念」とまとめています。
 企業は誰のものであるのかという考え方の違いは経営にも大きな影響を与えます。したがって自分のスタンスを明確にしていることが大切であると思いました。