常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

教育実習体験記

 8月26日〜9月13日の3週間、ふるさとの県立高校で教育実習をさせていただきました。HRは、2年生の国際教養科で、授業担当クラスは2年生の普通科5講座、国際教養科2講座でした。「Writing(文法を教える授業)」と「Reading」を担当させていただきました。
<学校の実態>
 SELHIに指定されており、英語教育に力を入れています。普通科と国際教養科(英語教育に特化したクラス)があります。HRには、帰国子女やドイツからの交換留学生がいました。真面目で素直、心が優しい生徒が多く非常に授業をしやすかったです。実習校全体として、実習生が「教員になりたい。」気持ちが増すように指導してくださいました。ご多用な中、温かく受け入れてくださったことに感謝しています。また、英語科の先生方は大学院に行ったり、海外に行ったり、企業で働いてから教員になった方がほとんどでした。「多様な生き方」を知ることができました。

<良かったこと>
 自己開示する機会を多く頂けたことが良かったです。授業は、教科を教えるだけでなく、いかに生徒の心をつかむかも重要だと思います。毎朝のSHRでは1分間スピーチを、LHRでは自分のこれまでの人生や将来のビジョンを話す機会を与えていただきました。トピック探しに苦労しましたが、うなずいたり、目を輝かせて聞いてくれる生徒がいて、照れくささとうれしさがありました。私の場合は、大学で勉強していることについて話した時、興味を持ってもらえたように感じました。
 国際教養科の様子を知ることができて良かったです。私は普通科の生徒だったので、実習前は国際教養科を担当するのが不安でした。しかし、生徒がフレンドリーだったことに助けられました。特に印象に残った授業は、マルチメディアです。修学旅行で訪れる台湾の学生に、自分の学校を紹介するドラマ作りをしていました。脚本を作るところから撮影まで自分たちの力でやります。見学に行った際に「脚本の文法があっているか確認して欲しい。」と言われた時は、正直焦りました。英語が話せることの必要性を痛感しました。その一方で、新たな授業のアイディアを得たり、高校生がこれだけのことがやれることを知り、刺激を受けました。

<心がけたこと>
 指導教諭からのアドバイスで、授業で扱う題材で「実物」を持っている場合は、「なるべく実物を見せること」を心がけました。たとえば「日本文化大辞典の英語版」が題材で出てきた時は、図書館で実物をお借りして、生徒に見せました。A4サイズで厚さが10センチ近くあり、重くて持ち運びが大変でしたが、生徒に興味を持ってもらえたので見せられて良かったです。
授業の計画をする際に、「なぜこれをやるのか」目的を考えながら計画するように指導を受け、心がけました。自分では考えているつもりでも、指導教諭に相談していく中で、考えられていないことに度々気づきました。
 
<改善点>
 普通科の理系と文系、国際教養科それぞれクラスの生徒に対応した授業をすることが難しかったです。進度も違えば、生徒の雰囲気も違うので、生徒のことをもっと知る必要があったと思います。
 もっと「親しみやすさ」が出せたらよかったです。指導教諭からは、「授業がやや端正すぎる。」とご指摘を受けました。研究授業後の反省会では、「語ることはうまいけれど、授業は生徒とのinteractiveが必要。もっとinteractiveを磨いたほうが良い。」というアドバイスを頂きました。また、授業外の時間においても、多くの生徒に声をかけることを心がけていたつもりですが、実際は積極的に話しかけてくれる目立つタイプの子と話すことが多かったです。1週目が終わった頃に、そのことに気づいていながら、なかなか改善しきれずに実習が終わってしまい心残りです。これらはすべて、普段の人間関係においても、決まった人とばかり関わり、あまり人との輪を広げようとしたがらない性格が原因のように思えました。

 生徒の熱意に対し、「倍返し」できたら良かったです。振り返ると授業では、帰国子女や交換留学生、英語が得意な生徒が熱心に授業を受けてくれているにも関わらず、退屈させてしまうことがあったと思います。私は、生徒の目標にはなれなかったと思います。放課後には、「ホームスティした時こんな経験をしたから、将来こんなことをしたいのですけど、どの道に進んだら良いと思いますか?」といった進路についての質問を受けることがありました。授業や部活で接点のない生徒たちが数名、明学に入りたいと考えているみたいで私の所にわざわざ話に来てくれました。私と同じように、普通科から英語の道に進みたいと考えている生徒が相談しに来てくれました。こうした生徒の熱意に対し、「倍返し」するには「伝える力」も「人間としての経験値」も「英語力」も足りずモヤモヤした気持ちが残りました。
 わたしにはもっと「挑戦心」が必要だと自分でも思いますし、先生方にもご指摘を受けました。「挑戦しなかったら失敗」実習中、受け手によって受け取り方が違うことに悩んだ時に、実習校の先生がかけてくださった言葉です。授業をしていく中で人によって受け取り方が異なるので、「完璧な授業はないのでは?」と思うことがありました。しかし、だからこそ「挑戦していくこと」「とにかく自力でやってみて改善していくこと」が大事なのだと教えていただきました。うまくこなそうと思うとどうしても、無難におさめたくなってしまいます。私は、自分で授業をorganize しすぎていたと思うので、もっと生徒にやらせてみても良かったです。

<実習を終えて>
 題材をどう伝えたら効果的か考えることは好きですが、自分の発想はなんてつまらないのだろうと度々思いました。教師は真面目で型にはまった仕事というイメージを持たれることもありますが、実はクリエイティブのセンスが必要なのかもしれないと先生方とお話することがありました。アクティビティに頼りすぎずに限られた時間と費用の中で、興味を引き付ける授業ができたら良いと思います。
 今回の実習で自分の中で薄れていた、英語を勉強することの良さ、教員の仕事の魅力に気づけました。そもそも私は音楽の道に進むことをやめた時に、英語の先生への憧れと英語をやっておけば役立ちそうという考えで、大学で英語を勉強することにしました。英語を勉強していく中で、「言語に興味があるのは確かだけれど、本当に英語が好きなのか?」と思うことがありました。教員の仕事の厳しさを知る中で、世の中にいろいろな仕事があることを知らなかったし、自分には別の可能性もあると思うようになりました。しかし今回の実習で、生徒に助けられたこともあり、英語を教えることが楽しいと思える瞬間がありました。社交辞令かもしれないけれど、「○○(母校)の先生になって。」と生徒たちに言ってもらえた時、驚きとうれしさがありました。そうした経験から、やりたいことがたくさんある中で、「英語を教える仕事に就く」という選択肢も自分の中でとっておきたいと思います。今回はあまりつらいことがなかったから、そう思えたのかもしれません。それに私は、挑戦したことはたいてい、たとえつらいことがあったとしても「楽しさ」を見出してしまうからそう思ったのかもしれません。
いずれにせよ、実習を通して学校という場所はエネルギーにあふれていて、パワーをもらえた気がします。どの道に進むにせよ、常に最善を尽くし、一瞬一瞬輝いていきたいという気持ちになりました。
 最後に。実習校の先生で、UG先生に教わったことのある先生が2名もいらしたのには、驚きました。こうしたつながりがあるのも、教員の仕事の魅力なのではないかと思います。(Flower Hill)