a Sea of troubles
The Economistの見出しから英語表現を拾います。記事では、台湾と中華人民共和国の関係、および両国を発端とする周辺諸国との海洋領域問題を扱っています。
Banyan: Seas of troubles
Taiwan and China share the same maritime claims, but have very different interests
http://www.economist.com/news/asia/21578106-taiwan-and-china-share-same-maritime-claims-have-very-different-interests-seas-troubles
こちらの元ネタは、皆様もすぐにわかるでしょう。「アリマス、アリマセン、ソレハワカリマセン」で始まるHamletの第三独白の台詞からの引用です。この冒頭の箇所を使用する傾向が多い中、あえて使わないセンスを見習いたいです。Hamletの第三独白と言えば、ハムレット王子が先王の復習をするべきか止めるべきか苦悩の中いる時に発した独白です。
フォリオ版Hamletの第三幕第一場の該当する箇所を見てみます。
To be, or not to be, that is the question:
Whether 'tis Nobler in the mind to suffer
The Slings and Arrows of outrageous Fortune,
Or to take Arms against a Sea of troubles,
And by opposing end them . . .
(Act 3, scene 1)
The Economistは、ここの赤字を引用し、いくつかの意味合いで使っています。
- 文字通り、海洋領域の問題
- 海洋領域の問題が艱難の海ということ
- 領域(領土)や独立を主張するべきか、しないべきか、それが問題だ
揺れ動く台湾と中華人民共和国の緊張の糸が、ハムレット王子の心境に重なり合っているところが興味深く思えます。台湾から見て日本がホーレイシオーなのかどうかはわかりませんが、日本やアメリカなども巻き込むこの状況は、まさにHamletの劇のようだとも思います。それとは反対にHamletのような悲劇ではなく、喜劇で終わって欲しいと切に願っています。(Othello)
PS Hamletの翻案ですと、やっぱりオリビエ主演のHamletが当時の精神分析の理論などを用いて崖の上で苦悩するハムレット王子が映し出される独白も面白いと思います。一方でブラナー主演のHamletの豪華さや鏡を使った第三独白の演出も大好きです。どちらも映像作品として非常に完成度が高く、とにかく面白いので、ゼミ生のみんなにもおすすめです。